第2章 考察と調査
執事見習いとしてこの国に来た。ルプスは王宮の者たちにとても可愛がられた。
幼いながら懸命に仕事をする姿は好感を覚えるし、何事にも素直である小さなことでもお礼を言う・・。
執事としての気配りもすごい・・・執務室にある備品の管理は完璧だし、必要に思う前にお茶や書籍は用意されていて、スケジュールの調整も時にジルに意見する時もあり、ジルはそれに一つずつ理由を説明し、その疑問と真意を聞いたうえで意見を尊重することすらある。
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・・・・・・・・・・・・・・・ルプスが謁見の時間を少し調整してくれたおかげで少し時間が出来、部屋で少し休息を取ろうと回廊を歩いてた時・・・後ろを歩いていた彼の足が止まっていた、
「・・・どうしたの?」「あの回廊は何処に繋がっているんですか??」
この城で一番綺麗に磨かれた床の回廊だった。オレンジ色の照明に毎日取り換えられた花・・・・しかし、どこか暗く寂しげな回廊・・・。
今では掃除以外だれも踏み込まなくなった回廊・・・ジルも無意識に説明を避けたのだろう・・・。
「・・・プリンセスの部屋だよ」「ぷりん・・・せす・・ですか?」仕方なく説明すると聞きなれない単語なのか返答を返す。
「そう・・。この国の一番大切な・・・プリンセスの」
それ以上は何も聞かれなかった。
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最初に案内をされたときは気にならなかった・・・しかし、こうして城の掃除をしていくと気付いたことがあった。
人通りの多い場所以外ひどく汚れた回廊・・・だが、その中で唯一、人通りがないのに清潔を保った回廊があった・・・。
その回廊の先をジル様は説明しなかった・・・。国王の私室へと続く回廊のそばなのでそれなりに高貴な身分の人の部屋なのだろうが、
この国の国王、今僕がお仕えしている『ルイ・ハワード』様には妃も両親も子もいないと聞いた。
なのにこの回廊はまるで使う人がいるかのように綺麗だった。疑問をぶつけると・・・感情のない声で答えてくれた。
『プリンセスの部屋』
それがどういった立場の人なのか理解できなかったが聞けなかった。
その人の事を思い出している国王の顔がとても悲しげで・・、