第2章 考察と調査
見習い初日は城の案内で終わった。提出した書類にも不備は特になかったそうなので、1ヵ月間は研修の為寮に入ってもらうが、その後は城下に間借りしてもいいとの許可が出た。
それまでに寮に住むか決めないといけない・・・。
どうしたらいいか、正直な話迷っていた・・・。こういう時いつもは、ははさまに相談していたが、ははさまとの約束があるためそれは叶わない・・・。
迷惑はかけたくない・・・でも、一緒にいたい・・・。甘えたい・・・。役に立ちたい
そんな思いをしたのは始めてだった・・ははさま以外の人に・・・。
「焦らなくてもいいですよ。幸い騎士団の寮にもこの城にも空き部屋はたくさんあります。下宿後気が向いたらでも、」ジル様がそう言ってくださった。
出会う前ならば・・・迷うことなく寮に入ることを望んだだろう・・・・しかし、出会ってしまった。
まるで自分が彼らの本当に家族の一員になったようだった・・・。じぃじがいたらあんな風なのだろうばぁばがいたなら・・・そして、何より
そんなことを考えながら、廊下を磨いていた・・・ふつう考えて執事の仕事ではないけれど、掃除をすることは苦ではなかったし・・何より
「うっわ、きったねー・・・・」
思わず口調が村にいた時に戻ってしまう・・・。
いたるところ掃除何か月もしてませんという感じだ・・・。ここ本当にお城なんだろうか・・・?アルス国王宮はこんな風に大きなお城ではなかったけどもっと綺麗だった。
宿屋で磨いた掃除術お魅せしましょう!!!
意気込んで数時間、廊下の掃除に精を出す。気が付くと昼はとっくに過ぎていた・・・。
空腹を訴える体を引きずり食堂に行く・・・食材だけでも分けてもらえないかと・・・。
「よぉ!ボーズ・・来るの遅かったじゃないか?どうしたんだ??」
恰幅のいい包丁師が話しかけてくる。ボーズと呼ばれることに少しムッとしながら今まで掃除をしていたことを話す。
「初日からご苦労なこった。メイド達に見習わせたいぜ。これは俺からの歓迎の印だ。次からは時間通りに食べに来るか、一声かけてくれ。そうすりゃ取っておいてやる。」
そう言って、おいしそうなサンドイッチとサラダとポタージュを出してくれた。
「ありがとう!!!」礼を言うと大きな手が頭を撫でる。
昼食は空腹の手助けもありペロリと平らげた。