第2章 考察と調査
「で、本当に飲みに来るためだけに呼び出したのか?だったら俺帰りたいんだけど・・・?」
「まぁ、いいじゃないか。しばらくは王宮にいるんだろ」
「捜索の帰りがけシュタイン国にも行ったんだろ?
国王陛下は相変わらずか・・・」
「・・・まぁな」
城下は目に見えてというわけではないが、城の明かりはまるで夜の様にどこか暗かった。
まるで、国王の心を表しているかのように・・・。
「まぁ、元気がない位ならいいんじゃないか・・・例の官僚の件聞いた時はよく激昂しなかったと思うぜ。」
「あの件は、ウィスタリアとしても・・一個人としても赦し難かったから、あの官僚も相当批判受けたと思う」
あの城で見かけたプリンセスと同じ顔のメイド・・・。
皮膚だけじゃなく骨格までいじられた所為で元の顔すら・・・・。思い出すだけでも何とも言えない感情になる。
「あれ以来、人前にプリンセスの絵姿を飾らなくなったらしいな。・・・まぁ、俺としてもそんなふざけた事する連中牽制するためならそうするけど・・・。」
感情の読めない顔でそう言ったのはソルだが、その話を聞いた時は激昂を通り越していた。
「いつも、城の中を駆け回っていたから・・・・」
ウィスタリアにいた時でも、細いヒールにもかかわらず軽やかに走っていた・・・
『走るものではありません』ジルにいつも叱られながらも公務にレッスン、メイド達の手伝いに・・・どこに行くにも楽しげに待たせないように・・・・。
そんな彼女の為にどこにでも訪れてくれるようにきれいに掃除されていた。
だからこそ、綺麗に整えておくべきと思いながらも・・・
『アラン!剣の稽古お疲れ様!』鍛練場にも
『今日もこの子に乗るのよね?よろしくね』 馬小屋にも、
『何を作ってるの?私にも作り方教えて』厨房にも
彼女のいた時を思い出して・・・・今いないことが悲しくて、辛いから・・・きっとやめてしまったんだ。
思い出が重なって胸が痛まないように・・・。
「話もあったけど依頼だよ。国王陛下から彼について調べて欲しいんだって出来ればアルスまで行って」
『アルス』まだ捜索に出てない極西の国
「ルイやシドが言うようにいくら何でもウィスタリアに来るのはちょっと理由としては妙だから・・・それも6歳の子供が。」
シドは手紙を受け取った承諾の合図だ。