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[イケメン王宮]グッバイ!racrimosa

第6章 5章 冒頭 運命の分かれ道


「おやおや、随分様変わりしたねー。まるで別人のようだ」
痩身の男は久方ぶりに診察を受けに来た患者に目元を和ませた。

「そうでしょうか?似合いませんか?」

戸惑った仕草で小首を傾げる妙齢の女性の髪はとても短くまた、以前会った時とは髪の色がちがっていた。

「いやいや、大変よくお似合いですよ。幼子のように溌剌とした雰囲気だ。」
「良かった!村の人たちが苦い顔していたので心配だったんです。」
花が咲くように朗らかに笑う女性は明るく最初に会った時の影のある儚げな印象が消えている。
少し呆れ顔の今回患者の付き添いで来た弟子の方が意気消沈といった様子だ。
まぁこれだけ落ち込むのも無理もない。彼女国では年頃の娘が髪をこんなに短くすることがないらしいから、

「さて、診察の前に少しあわせたい人がいます。すでに中庭でお待ちなのでそちらへ」「はい、お口添え感謝します。」

付き添いを兼ねて妹について来たが、城内ならば安全だしと思い今回は見送ることにした。
「いやはや驚きました。一瞬誰かと思ったよ」
「の、割にステラだってすぐ気づいていましたよね」

村の人たちですら、あの変わり映えに心底驚いていたしステラだと信じてもらうのに時間がかかった。のに、ほんの一瞬首を傾げすぐに正体に気づいていた様に思える。

「いや、俺が言ったのは君がこの世の終わりみたいな絶望を讃え疲労困憊な顔していたのを見て、『あれ?顔こんなするっけ?うちの弟子??』って」「あ、そう」
『もう、どうでもいい』という様にテーブルに俯せる姿にやはり普段の様子と重ならない。

「あれ?反撃がない。どうしたの??いつもなら3分くらいは喚き散らすよね」
「そんな気分になれない」
苦虫を噛み潰したように、つい先程、一人出て行った扉を見つめる。

「まぁ、あの様子なら大丈夫でしょう。人使いは荒いけど友人もそこまで鬼ではないし『なるようになれ』だよ」二人に出そうと思っていたお茶を淹れ、目の前に出してやる
「それが一番心配なんだけど、」
差し出された湯呑みを持って飲み干すと、そのまま固まってしまった。

(なに、コレ)(お茶)(すっごい不味い。苦い)(馴れるとコレがいいんだけどなぁ)
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