第6章 5章 冒頭 運命の分かれ道
この国は様々な分野に関して向上を重きに置いている。
学術において伸びる要素があるならばその向上の為の支援金や開発費、生活において必要な費用も国から支給される。
何故ならその向上によって生まれた産物の殆どが、その費用を捻出しても莫大な富となる輸出品なのだ。
国営の研究所や学問所はそう言った技術を各領地から集めまとめるのが主だった役目である。期間、費用、実用可能かの判断は輸出するにしても重要視されるものだから、それらが輸出して帳尻合わせができるか使用するにあたり安全が約束されるのかそう言った最終テストも国の責任の元に行われる。
故に国営の施設の中でも王都にある王立研究所や王立院に勤務する人間はその道のスペシャリストが集められる。
王立とは言うなれば国王の王命の名の下、一部の権限が与えられるもう一つの『国の顔』と言う名の『王』だ。
王自らが査定し指名されると言う上でも王立の学舎や研究所に入るのは大変名誉な事である。
そして、王自らが指名された証として、現王の御徴が施された装飾品が贈られる。
そして、現国王の御徴はたしか月桂樹。
目の前に座る御仁の金の杖の先端には月桂樹が彫られている。
金の杖事態も王のみが持つことの許されているものだから、間違いなく目の前に立つこの人はこの国の国王らしい。
「改めて、私がこの国の王だ。異国の方領民の非礼を詫びる。」
「いいえ。私の方こそ王とは知らずご無礼を」
「また、この地の為に知恵を貸してくれ感謝を述べる。この地は幼少時過ごした思い出も妻との思い出もあるのだ。
なんとか守りたいと思いつつも何も知恵が浮かばなかったのだ。」
深く頭を垂れる国王。
「しかし、国王ともあろう方が何でこんな辺鄙な土地に護衛もなしに」
「いやぁーマブダチに弟子自慢されて、その上とある人の身元引受け人になったから判子してって言われてね。王立医療研究所所長で俺の主治医なんだけど何も詳しい事聞かないで判子押しちゃって流石にマズイので、他国視察の帰りに寄らせてもらったの
まさか、行き倒れるとはねーアハハ」
「・・・・。」
人の良い気さくで親しみやすい笑みでそう言った。
この時、この国の未来は大丈夫なのかと一抹の不安がよぎった。