• テキストサイズ

[イケメン王宮]グッバイ!racrimosa

第6章 5章 冒頭 運命の分かれ道


森で見つけた御仁は不思議な人だった。
諸国漫遊の帰りに森に寄り空腹で倒れた事といい、王都や賑やかな街に行かずに辺鄙な村に滞在している事。
「ほぅ、こうして色を出すのか、面白い。この方が工程が簡略化されるな。」「ここは牛にも香草を食べさせているのか!?」
染物も興味があるというか、暮らしぶりを見ている様に伺える。

人当たりも良く、気さくで明るい方だ。警戒心も薄れたが妻が待っている筈なのに帰る気配がない。

喧嘩でもして諸国漫遊していたのだろうか?否、もしや諸国漫遊と言う名の流罪?

色々思考が頭の中でぐるぐる回っていると額を大きな手が覆った。

「うーん、熱はないけど顔色良くない。休むといい」
そう言って肩に担がれ寝台に運ばれる。

「母親が不安だと赤子も不安がる。一人目の時もそうだった。俺が何かやらかしてヒステリー起こす度子供まで暴れたらしい。」

「お子さんもいらっしゃるんですか?」「おう、生意気な小倅といまお腹にもう一人」
嬉しそうににこにこ笑うものだからつられて笑い返そうとしたが
「お腹に!?」「あ、ああ」
「すぐに帰って下さい。私に構ってる場合ではありませんよ!?奥様王都にいらっしゃるんでしょう!?」「そうだが、何故?」

夫不在。独り身だと思われて件の人攫いにあっているかもしれない。そうでなくても王都の噂を聞き不安がっているかも

「あはは、うちの嫁さんに限って不安がることはないよ。むしろ犯人捕まえに躍起になるよ。
それより、独り身のいかにもか弱い妊婦に迷惑かけて何の恩賞もしなかった方が怖い。マジで」
後半話しながら顔が蒼ざめていく。

「でも、」
「このところ村を回ったけど旦那さんらしき人はいない。調査員か何かかと思ったけどあいつらの中で所帯持ってる奴はいない。王都に働きに出ているのは子供数名ととある薬師だけ。狙われるとしたら君の方が高い」

「何故?」
ここは王都から最も離れた村の一つだ。なのに、
「ここは王都から離れている。けど、最近王都の人攫いはなりを潜め、王都から離れた町や村で人攫いが頻繁に起こり始めたらしい。」

知らなかった。でも、だとしたら姉はどうして?


/ 231ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp