第2章 考察と調査
玄関の方から自分の名が呼ばれたのが聞こえ、急いで駆け寄る。
見知らぬ人だ・・・・村の牛飼いのおじさん位の人で少しふくよかで目じりがほんの少し垂れていて優しげなこげ茶色の目がこちらを見る。
孫に抱き着かれてはにかんだ初老のご婦人は白髪交じりだが綺麗な黒髪・・・まるで鴉のような・・・。
「・・・・・・。」
なんでこの人たちはこんなにも似てるんだろう・・・・ははさまに、
「君がルプス君かね?」少ししゃがれた声で尋ねられ、コクリと頷く、するとニッコリ笑い封筒を渡してくれた。
すこしくたびれたクリーム色の封筒からは微かにミモザとカモミールの香り・・・綺麗で優しい文字で書かれた僕の名前・・・差出人が誰なのかすぐにわかった。
「!!!・・・ありがとう!!!」
すぐに中身を読みたいがグッ!と堪えお礼を言った。
「どういたしまして、息子から聞いてるわ・・・小さいのに一人で来たんですってね。私達この城下でお花屋さんをしてるのよかったら遊びに来てね。」
目線を僕に合わせるようにして優しく声をかけてくれるご婦人に
「うん!ありがとう母様!!」
そう答えるとみんなきょとんとした顔をした。
「かぁさま??」「ばぁばなのに??」
「村では、皆家族みたいに過ごしてたから、一番年上の人を爺様、婆様。奥さまを母様、年上のお兄さんを兄様お姉さんは、姉様って呼んでいたんです。」
「じゃあ俺は8つだから、あにさま??で姉ちゃんはねえ様か」
「母様なんて久々に呼ばれて照れてしまうわ。私の事はばぁばと呼んで頂戴・・・。」
少し頬を赤く染め、そういった。
「ではおば様では・・・」
「それだと他人行儀でヤダわ。なんだか他人に思えないんですもの」少し拗ねたように応えた。
「ば、ばぁば?」呼んだことのない単語に戸惑いながら呼ぶと花が咲くように万遍の笑みを浮かべる。
「わ、儂みたいな旦那さんはなんと呼ぶんじゃ?」「おじ様」
何故か、おじさんが腹を抱え笑い出した。
「親父はさすがに父さまなんて呼ばれないだろう、それは俺みたいな・・・若い中年にだよね」
「おじさん」
村のおじさんと同じ年くらいの人を呼ぶときの呼称を言う。
「???呼び捨ての方がいい???」
「う、うん」
今度はおじ様が床に転がり笑う番だった。