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[イケメン王宮]グッバイ!racrimosa

第6章 5章 冒頭 運命の分かれ道


大きく張り出されたお腹は赤ちゃんが今か今かと、出てこようとしているように見える。産み月も過ぎているので陣痛が来れば後は出産だけ。
しかし、姉がいない。精の付くものをと言って王都に行ったきり既に3日音沙汰がない、不安になる。

この村の人は本当に良い人たちだが託すならやはり肉親の方が安心だ。やはり、一覧の事件は、不安にかられながらも否定する様に首を動かす。
不安を消そうと外に出る。まだ朝の早い為誰もいない。誘われる様に森の中に入る。

こうしていればまるで絵本の中の様にあの人が会いに来てくれる気がして、何も望まないと決めていた筈なのに、こうして願ってしまう。

会えるはずがないのに、この森は本当に入り組んでいる、村の住人でも時折迷うのに、そんな危ない場所にあの人自身、兵士達も来る筈がない。

それなのに、

深い溜息をついた時、狼の遠吠えを耳にした。
狼が朝に鳴くなんて、不審に思い森の中に入る。

見知らぬ男が倒れていた。旅人風の出で立ちで体格のいい壮年の男。村人以外の人間に畏縮するも、肩を揺する。意識がない、しかし放ってはおけない。肩に背負い、村に戻る。


まさか、森で道に迷うとは、何年も入ってないからか森に拗ねられたのかも、そもそも調査を兼ねた諸国漫遊の帰りにちょっと件の村見に行って見ようと言う考え自体森や留守を任せた妻の怒りを買ってしまったのかも、弓も食料も火打石もないのに森舐めとんのか?!と愛しい人の罵りの声が聞こえてくる。餓死しようという最後に過ぎるのが妻の罵り言葉とか、
嫌、これはこれでなかなかにとも思うが、とりあえず他人事なら腹抱えて笑うが、溜まったもんじゃない。
動けるうちに弓を作り獣を狩らねば、火はまぁ無くてもイケるだろう・・・たぶん。

あぁ、焼いた肉と爽やかなハーブの香りがする。幻覚に嗅覚が騙され出した本格的に不味い、目を開けると見慣れぬ景色、森の中でも自分の住まいでもまして天国でも地獄でもなかった。素朴な部屋だ。質素だが落ち着いていて居心地がいい。

「目が覚めましたか?」

目の前には品のある身重の女性が立っていた。
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