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[イケメン王宮]グッバイ!racrimosa

第6章 5章 冒頭 運命の分かれ道


「具合はどうだい?」「ええ、大丈夫です。ありがとうございます。ババ様」
「無理しちゃいかん。何の足しにもならん、この村は森の恵みで生活している。だから森の神様が連れて来たお前さん達を皆んなは見捨てたりしない。」

「森の神様、ですか?」 「あぁ、人が好きで、嘘つきで人に怨まれ、人に姿を見せない。優しい白いオオカミの、な。
お前さんがここが嫌で出ていくんならいい。でもそうじゃないなら、ここにいる人間はみーんなババの子や孫じゃ。なーんも心配ない。子が母に甘えんのは当然の事。親が子供守ることは義務じゃ、だから、ちゃんと甘えい?早く、元気になって、一人で飛べるように巣立ったらええ。」「・・・・。」

「一人で偉いね。こんなおっきなお腹抱えて、たった一人で森抜けて、辛かったな。怖かったな。だから森の神様もあんたをここに連れて来た。一人で抱えこまんように」

恐怖なんてなかった。辛くなんて、だって、あのままあの人のそばにいたら不幸にする。
傷つけてしまう。

なら、そばにいない方がいい。愛しい人を守れた事に安堵した。
後悔なんてない。あの人を不幸にする以上の恐怖も苦痛も、

ほんとうに?


本当に


じゃあ、どうして


ポタリ



瞳から涙が零れ落ちた。

心の奥がザワザワと震え、落ち着かない。悲しいのか怖いのか不安なのか、わからない。
只々、幼子の様に老婆にしがみついて泣いた。

老婆は母が幼い頃してくれた様に泣き止むまで私の頭を優しく撫でてくれた。


その夜、夢を見た。

元気な男の子が広い野原を走っていた。風に靡く髪がまるで狼の鬣の様で、本当に、綺麗で、愛おしくて、
もう、会えない愛しい人たちに見せたいと思った。
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