第6章 5章 冒頭 運命の分かれ道
「うーん、中々に面白い薬草だねー。使い方によっては犯罪者が増えそうだけど。美術部門の人は喉から手が出るほど欲しいだろうし、大枚貢ぐと思うよ。」
「今は研究段階だけど、各部署にも革命が起きるわよ。創薬してこれ程薬効があって人体にほぼ影響がないとか奇跡でしょ?」
「でも、まだ動物実験の段階は踏まないと」
「今あのこの側を離れるわけにいかないから。
というか、創薬したらすぐにでもあの子に飲ませたいのよ。」
拐かしの際に何か薬を飲まされたと言っていたが話を聞くに遅効性の毒らしい、血液検査の際に結果は見られなかった。元々母胎の疲労による免疫低下も有るだろうが安定期に入り、無理のない範囲で働いているのに、時折貧血で倒れるとか。
休息が足りてないだけとも考えたが、その話が引っかかる。
「そもそも何故あの子命狙われてるのよ。相手相当ヤバイ人種とか?」「戸籍登録の時に内緒で鑑定出来るとは思うけど、アレだけ泣いて縋られるとねぇ」
未だ片親については知らされてない。時が来たらと、だけ。
命を狙われているなら尚のこと、実家に帰って匿ってもらった方がいい筈なのに、国に帰る事事態も拒まれたとなると、自分としては長く帰っていない実家も心配になる。
「そういえば、君の祖国のプリンセスがご成婚したらしいね。何でもあの大国のシュタインの国王と。めでたいな」
「へぇー、うちの国の国王様に子供が出来たなんて知らなかった。あれ?でも私が出奔したのって約5年前、その後って事はすっごい年の差婚。」
謎の隣国の国王様がまさかの稚児趣味とか。
「いや、お年はさほど変わらない妙齢の女性と聞いたが」
養子でも貰ったのか??いやまて、
「あぁ、プリンセス制度で選ばれたプリンセスか」
「前に聞いけど変な制度だねー。よく国続いてるよ。」
「まぁ、大体選ばれるのは王家の遠縁か大貴族だけどね。」
確か、今の国王の曾祖母が当時のプリンセスで元はハワード公爵令嬢だった筈だ
「聞いた話では、今回は庶民の出身らしくて、今は行方不明らしいよ。」
「結婚前に逃亡って相手どんだけ醜男だよ」
一般人が選ばれるなんて珍しいと思いながらも妹とは関わらない事だと思っていた。