第6章 5章 冒頭 運命の分かれ道
何ヶ月か過ぎお腹も大きく張り出し動くのが別の意味で難しくなった。身体は姉が作ってくれた薬で僅かずつ回復へと進んでいるものの、不安も大きい。ほんの数分歩くだけで目眩を覚え動かなくなってしまう。その上
未だ、噂を聞きつけ不審な人間がうろついている為皆が帽子を深く被るなどして髪や目の色を隠して過ごしていた。
私のせいだ。こんな身体で不相応の願いをしたせいだ。
それでも元気にお腹を蹴る命に幸福を感じる。
「明日は王都の病院で検診を受けよう。あんたの戸籍は無理だけどあの病院で検診受けておけば何とか子どもの戸籍は貰える。」
法的にはあまりよろしくないが、私には喜ばしい事だ。しかし、この髪や目では、ふと、薬師の瞳の色が普段より緑がかって見えた。
「この間染料に使っていた薬草で髪や瞳の色が変わる薬を作ったの。飲むのは副作用が強いはずだから勧めないけど髪を変えるくらいなら」
そう言って手渡す。
「この子が無事に産まれたらその後飲むわ」
髪に塗ると薬がついた箇所が変わっていく月の様に白く。
「おやおや、随分老けてー。髪だけお年寄りですねー。あぁでも子供も年とりましたねー」
検診を担当してくれたのはあの先生だった。随分失礼な物言いだが何だか面白い。
「あぁ、素敵な笑顔ですねー。そうやっていると赤ちゃんも元気に産まれてきますよ。まだ心配は尽きませんが、お姉ちゃんでもある不肖の弟子が何とかしてくれますよ」
「何でわかったのよ。」「骨格は変わらないからねー俺、一度見た骨格は忘れないのー」「ナマの骨格は見たわけじゃないし髪型まで変えたのにどうして、こう・・」
「あぁ、何かお困りの様だったからこうして貴方の戸籍も私の方で用意しましたよ。」
「どうやって?」「あの村の染物を考えた人について陛下が興味を持たれていたので、知り合いである事をお話ししたらその流れで近々、本人が挨拶に来るのでお楽しみにー」
ホント変わってるなぁ、この国。