第6章 5章 冒頭 運命の分かれ道
「あぁ起きなくて大丈夫ですよー。まだ顔色が悪いようですねー。蒼白くて美人な死体役が似合いそうだ。良くなれば美人のご遺体役や美女毒殺死体役も出来そう。」
「えっと、」
姉が連れて来た医者はとても細く骨と皮だけのような、それこそ
「骸骨の親戚みたいなあんたにだけは言われたくないと思うよ。饑餓死体役が」「ええーなんでー、美人ってちゃんとつけたじゃん。それに俺にとっては褒め言葉だよー」「撤回唯のキチガイの変態だわ」「あ、あの」
「まぁ変態だけど腕は確かだし、薬と病気と死体にしか興味ない先生だけど」
なんか、そっちの方が怖いのだけど、
「あははー、じゃあちょっと問診するからルナ、帰って良いよ。非番なのにご苦労様」「は!?ちょっと何でよ」
「あれー?非番の日は手伝い回すなって怒ってたよね?ここにいたいなら今度から非番の日も呼び出すけど」
「巫山戯んな!ったく、部屋の前で待ってるから万が一何かされそうになったら大声だしなさいよ」
そう言って部屋を出て行くと。先生は先程とは違い真剣な顔をしていた。悪い病気とかなのだろうか?
「栄養失調と診断されましたがいつから食べてませんか?」
「えっと、食事は1日3食食べてましたがあまり、」
好き嫌いはこれと言ってなかったのだがこのところ食べ物の匂いがまるで泥の様な匂いで吐きそうになり食欲がないのだ。
「睡眠時間は?随分疲れが溜まっていたみたいですが?」
「少し寝付けなくてでも、起きては寝てを繰り返しながらも5時間は」
眠気はあるのに夢見が悪くて夢から醒めてはまた寝てを繰り返していた。
「熱も少し続いていませんか?」「えぇ」
「もう一つ、月のものは来ていますか?」
質問に顔が赤くなるが冷静に、そして青ざめる。
来ていない。いつから、
「3ヶ月前には・・・」
確かにあったでも、それ以降は目まぐるしく周りがバタつき自身も精神的に参ってはいたからそのせいだろう。と
別れの日アノ人と一緒に過ごした最後の夜私がウィスタリアを発つ前の夜。離れ難くて、小さく囁いた言葉を聞き入れてくれたのに、優しいアノ人を拒んでしまった。
今になっては最後の夜だったのに、
しかし、
「検査が必要です。まだ確信はないですが、」
これは、神の慈悲なのだろうか?
まだ平たい腹部を優しく撫でた。