第6章 5章 冒頭 運命の分かれ道
「全く、非番で久しぶりに町に出たら出店の前で生き倒れた馬鹿がいるとかで呼ばれて来てみれば、あんただとは、私の休日を返せ」
「ご、ごめんなさい。」
「全く、連絡もなしにドッキリとしては高得点だけど。会うんだったら一言連絡よこしなさいよ」
「それはこっちの台詞です。姉さんがこの国にいるなんて知らなかったし、」
会う気は無かった。
「お店のおじさんに呼ばれたって事はお医者様になったの?何でアルス国に?」
「まだ見習い。研修中だよ。この国は薬学も医術も大陸一だからね移り住んで来たのは二、三年前かな?あと数年はここで研究してたいわ。」
「父さんが聞いたら泣くよ。後継はどうするんだって」「あんたがうまく誤魔化してくれるでしょソルもいるし大丈夫でしょ?」
兄さん聞いたら怒るだろうな。しかし私はこの姉が大好きだった。優しくて賢くて医者になりたいとこっそり教えてくれた時応援しただから協力したのだ。
「で、あんた一人?旅行とかじゃないわよね。父さん達がいたらこんな風に倒れたらしないだろうし、あ、これ点滴静脈注射。略して点滴ね。中のは栄養剤だから」
よくわからないけど害は無いらしい。口から栄養が摂れない人の為のものらしい。
「今、平気?先生が聞きたい事があるらしくて目が覚めたら話をしたいらしいけど、顔色もまだ良く無いわね。」
「大丈夫。」「なら、呼んでくるから待ってなさい。」
腰を上げる姉。伝えて無い言葉があった。
「お姉ちゃん。」「なに?」
「おめでとう。」
祝辞を述べると照れ臭そうにそっぽを向き手の甲で軽く頭を小突かれた。
「まだ早いっての、あんたは如何なの?先生にはなったけど、イイヒトは見つかったの?」
姉の言葉で思い出すのは優しくて賢くて愛しい
「・・・・うん。」「だろうね。我が妹ながら綺麗になったもの、ちょっと複雑だけど、今度会わせなさいよ。約束なんだから」
「そうだね。姉さんが帰ったらきっと会えるよ」「え?」
「ほら、早く行って、あんまり遅いと眠くなっちゃう。」
不思議そうな顔をして、それでも医者を呼びに部屋を出て行った。
「約束破っちゃうんだな。」
小さな頃にした約束だ。
『先生になる事は良いとして。好きな人が出来たらまず父や母より、まして兄よりも先にまず私に言いなさい』
「ごめんね。」