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[イケメン王宮]グッバイ!racrimosa

第5章 番外編 小さな王様の観察日記


(メガネさんの場合)
今日は少し遠くまで行って美味しい牡鹿を食した。中々に肥えており食べるのに一苦労したがお腹いっぱいなのだ。

おっと、部屋に入る前に水浴びをして帰らねば、全身牡鹿の血で濡れている為、このまま帰ってはルプスに怒られる。この間快気祝いに野兎を持ってきた時は悲鳴をあげられてしまった。血が滴り落ちている方が新鮮で美味しいのに・・・。
噴水の中に身を沈める。
綺麗な水の中には生き物がいない。ヒトとはおかしな生き物だ。川や湖を作るものの肝心の魚を入れておかないのだから、しかし、こうして水面を眺めると自分しか見えないと言うのも中々に面白い。
うだる様な暑さではないがやはり夏は水浴びすると気持ちいい。
羽を器用に擦り付けるとピリリと冷たい刺激を感じる。頭から水の中に潜ると涼しい水の中はとても澄んでいてキラキラと輝いている。
そろそろ羽も綺麗になっただろう。やつがれ帰るとしよう。
「俺とした事が・・・この辺りに落ちているはずだが」
おや、あれは見覚えのない顔だ。短髪の髪と生真面目そうな顔は何処かで見た事があると思うが、やはり知らない。何やら探し物の様だ。
困っている人は助けなさい。とルプスに言われてる。困っている人を助けておけば後で謝礼としてコキ使えるぞ。とも
よし、あいつをやつがれとルプスの子分にしてやろう。

探し物はまだ見つからない上、時折草叢の影から音がする度怒っている。怪しげだ。
あの辺りならば多分この辺にあるだろう。
水の中にキラキラと輝く、丸いモノが二つ変な形の枝にくっついる。
最近知った『メガネ』と言うものだ。やつがれは物知りだ。
しかしこのメガネ見覚えがある気がする。
とにかく渡してやろう。
キョロキョロと探し回っているオスに声をかけるも夢中になっているのか反応がない。仕方ない背中に勢いよく突進し、頭にメガネを置いてやると
「ベンジャミン、貴様!また俺を通り道にして、いい加減盗んだメガネを返せ!」
やつがれを盗鳥と勘違いしているらしい、目の前を飛び頭にかけてやったメガネを降ろしかけてやる。
「こら!ベンジャミン!!・・・・じゃないレグルスか、お前が見つけたのか?」そうだ。と一啼きすると「礼を言う」と頭を下げてきた。
ふむ、子分らしい姿勢だ。
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