第5章 番外編 小さな王様の観察日記
(チロルの場合)
酷い!!ヒドイ!!!あんまりだ!!
置いてけぼりにしたルプスが悪いのに意地悪を言う!!やつがれ、悪戯なんてしてない!悪いのルナなのにご飯抜き!!
抗議をしたらルプスはもっと怒ったのだ!!!
やつがれ!怒った!!!やつがれ勝手にお外出てやる!!こうなったら野宿だ!
さて、やつがれ今日は何処で寝よう・・・。
あのオシロのてっぺんに行こう!なかなかに見晴らしが良い・・が、ここでは丸まれない・・・。
おぉ、あそこで人がいっぱいの所に行こう・・柱の上は丁度やつがれが丸まって寝れそうな場所がある!下で人間たちがうるさくて寝れない!!
やつがれ、野宿には森が一番いいと判断。やつがれ賢い!
さて、水と食糧がある場所を探そう。森の中をトコトコと歩いてみる。
ルプスの真似っこだ。高い木の上に登れないし、降りれない。こうした足の使い方は疲れるし目的地到着も遅い。
やはりアニサマとして許すべきか
否、それでもアイツはやつがれを飯抜きにする!ひどい奴なのだ
むしゃくしゃして、何度もその場で跳ねる。
コツン!こつん!
イタイ!!・・・誰だ!やつがれに木の実を投げたのは、あいつだな、やつがれに対して、なんて奴だ!
音もなく静かに木の実を投げたであろう存在の背後に詰め寄る。見たところ鼠のように小さいが尻尾がふさふさで大きい・・栗鼠かという生き物。
むむむ、栗鼠には昔食べ物をもらったことがあった・・・もらったものは食べなかったが、恩義のようなものがある。
ここにいる栗鼠をこのまま食べてしまっていいものか・・・お腹もそこまで減ってはいない。いや、ちょっと脅かすだけでも・・・
『モグモグモグモグ!!!』
よくよく見ると膝の上に木の実を乗せており一心不乱に食べている・・・口を動かしている間体が動いてしまうのかコロコロと木の実が落ちていく・・・。
わざとではなかったようだ・・・。
『モグモグモグモグ・・・・・ん?―――っ!?』
こちらを見て一瞬で蒼褪める栗鼠食べられてしまうと思っているのだろう。
しかし、やつがれはそこらの鳥たちとは違う!少し上の方にある熟れた果実を見つけ器用に捥ぐ・・・。
それをそのまま栗鼠めがけて落とす
ポトリ・・・
『うわぁ!??』 ふん、これで恨みっこナシなのだ