第5章 番外編 小さな王様の観察日記
(鼠取り名人と教育係の場合)
むむ、ここにもいない。おかしい、鼠の気配はするのに姿が見えない。やつがれに恐れをなして逃げたのか?
流石、やつがれなのだ!しかし、それではやつがれはご飯食べれない。
チューチュー
っ?!は、この声はやつがれのご飯の声。おお、アレは正しく鼠。
ここであったが百年目大人しくやつがれに食べられるのだ!!
静かに体を浮かし、音を立てないように背後に忍び寄り一気に仕留める。
「ニャッ!!」「ビキィ!?」
筈だったのに、横から現れた御仁に鼠を横取りされた。
なんて事を、それはやつがれの獲物だったのに、
『これは僕が見つけて僕が捕まえたんだ。だから僕のものだね。』
目の前にはフサフサの毛をした猫。自慢げに鼠を咥えている。悔しいが確かに先に捕まえたモノの勝ちだ。仕方ない今回は諦めるか御仁、その鼠は御仁のものだ。やつがれの食事は別に探そう。
『はぁー、面白かった。動かなくなったし手も汚れたからもういいや』 そう言って動かなくなった鼠をその場に捨てた。
何と、やつがれから奪った獲物は食べるわけではなく唯遊ぶ為に捕まえただけ?
『僕が捕まえたんだからどうしようと勝手だろ?』
正論だが、やつがれはお腹が減っていたのに、弱肉強食、仕方なく譲ったのにこれはあんまりだ。
『因みにこの辺の鼠は僕がみーんな取っちゃったもんねー』
やつがれ、猫は嫌いだ。やつがれ怒った
『何?僕とやり合うの??別に構わないよ』
やつがれ、食べるのと守る事以外で喧嘩はしない。やつがれと鼠取りで勝負です。
『いいぞ王宮一の鼠取り名人のミケランジェロ様が相手になってやる』
鼠の足跡がし、その数秒後に姿を現した。
互いに獲物に狙いを定め、一気に襲いかかる。
「ミケランジェロ、何をしてるんです」『げ!?ジル』
戦線離脱し、やつがれが鼠を捕まえた。やった、ご飯だぁ!
早速食べようとすると、首を掴まれた。
「ここで食べるのはおよしなさい。」
ジルサマが怖い顔でそう言った。心なしか猫も青ざめている仕方ない見えないところで食べるか。