第5章 番外編 小さな王様の観察日記
(ウィスタリア国王様の場合)
みんながやつがれの部屋を何処にするか悩んでいる間。やつがれはまじまじと部屋を眺めていた。
大きな机には本やら手紙が山の様に積み上げられている。
やつがれはその上にチョコンと座り周りを見渡す。
紙の上は思っているより安定するし、ルナ殿がオウチにいるときの定位置が積まれた書類の上だったので倒さずに乗ることは得意なのだ。
「あぁ、コラいけませんよ!倒したらどうするんですか!?」
なのに、なのにジルサマがそう言ってやつがれを定位置から退かそうとする。やつがれ心外!!
「いいんじゃない?倒れそうにないから。」
おぉ、ルイサマはお優しい!やつがれはルイサマの容姿は嫌いだがどうやらこの方は優しい人の様だ。やつがれ、反省。
「あ、」おや、ルイサマが羽ペンを床に落とした。ここはひとつ、やつがれが取ってあげよう。
ゆっくりと手紙の山から降り、羽ペンを掴み机に置く
「ありがとう」
なんの、これしき。とりあえずやつがれは森で食事を済ませてきましょう。
窓から外に飛び出し一番近くの森を目指す。
「ジル、すまないけど、新しい羽ペンを持ってきて。」
細い羽ペンは形は変化ないが机に落とした際、軸が見事に割れてしまったようだ。
「あらら、新しいペン軸が必要だね。」「すぐに用意いたしましょう」