第5章 番外編 小さな王様の観察日記
(おつかいの話)
ルプスが森の先にある『ウィスタリア』という国に働きに行く。
今回はやつがれも同行することになった。理由は出発のギリギリまで村にいたため急ぐ必要があったためだ。
全く、困ったものだ。
その為、森を抜ける超特急ルートで向かう事にしたらしい。
まぁ、アウラにかかればどうってことない。が、
やつがれがもっと大きくなればルプスを背に乗せて飛んであげれるのに
『そんなには大きくなれませんよ』
なんと!?アウラ、本当か、やつがれはそんなに大きくなれないのか!?
『残念ながら、ルプスを背負うまでは大きくは、』
そうなのか・・・・やつがれショック・・。だが、ルプスを掴んで飛ぶくらいならば
「うわっ!?何??レグルス、さっきご飯は食べた筈でしょ??くすぐったいよ」
むぅ~・・やつがれ、お腹が減っている訳ではない。こうやって運んであげようと・・・
『レグルス、この子を無事に送り届けるのは私の役目だ。』
とても怖い顔で一度、蹄で音を鳴らす・・。
「あ、一応。帰還の旨をジル様たちに伝えないと・・・レグルス。お願いできる??」
む?やつがれにお仕事??お手紙を配達・・・。
「お城の執務室にいるジル様に渡して、少しだけご厄介になっていて、俺達も直ぐ行くから」
むむ、やつがれは戻ってきてはいけないと!やつがれは、一緒に旅してはいけないと!やつがれは・・・!やつがれは・・!!
『行ってきなさい。執務室へは、お城の東の棟、右から2番目の部屋の窓から入れる。お前が城でいい子にすることで、ルプスと城で長く過ごせられるようになるぞ』
そうか、あい、わかった。やつがれ頑張る!
やつがれが『オシロ』という一際大きな巣の中に入り、アウラの言われた通りの場所に行くと窓が閉っていた。
やつがれ入れない、仕方なく別の部屋の開いている窓から入りその中にいた『ヒト』に手紙を渡す。
「ん?スピネル・・・じゃない。これは・・手紙・・・?」
やつがれの眼と同じ太陽の様な綺麗な髪と青空のような瞳の『ヒト』はしばしやつがれを見て戸惑っていた。
とりあえず、おつかい成功!!やつがれエライ!!