第2章 考察と調査
「アルス国出身と言っていたがなぜこのウィスタリアに??」
アルス国はウィスタリアやシュタインが存在する大陸の極西にある小国だ。辺境故どの国にも属さず交流もほとんどない。閉ざされていた頃のシュタインよりも謎の国だった。
「アルスはその名の通り叡智の探求を尊ぶ国です。技術の発展、芸術の追究。医術の向上、学問の窓・・・。求めるものにたどり着く機会を与えてくれます。
私はその機会を他国で学ぶことを偉大なる王に許されました。他国の中でもウィスタリアは独自の制度により長く国を治めていると聞き、この地を訪れました。」
こちらを見上げる目は迷いがない、しかし、何かを隠しているような気もした。
あどけなさが残る表情に似合わず、凛として清廉な佇まい。高貴な色の瞳がルイの瞳をじっと見ていた。
「他国出身となればこの城での扱いは厳しいものになる。それでも学ぶ機会を求めるの?」
あのプリンセスはウィスタリア出身だが庶民で・・・望まずプリンセスとなった。
それでも
「求めます。自分に何ができるのか知りたいんです。」
(私が『プリンセス』を任せていただくことになりました。)
誰よりも強く、気高く、美しかった・・・・。
「よろしく頼むよ『執事見習い』さん」
今の自分は国王としてこれからこの子を見守らないといけない。かつて前王がプリンセスにしたように・・・。
「はい!」
年相応の無邪気な笑顔はまるで天使の様な・・・陽だまりに包まれていく感覚だった。
「早速ですが、これから住み込みで王室のしきたりや作法を学んでもらいます。その前に親御様に話したいことが」
「・・・・???」
「いくら何でも、年端の行かない子供を城の寮に一人住み込ませるわけにはいきません、一言ごあいさつをしなければ・・・」
「申し訳ありません。同行者とは明日合流する予定なのです。その人が母が城の人に当てた手紙を持っていますのでそれをお待ちしていただけませんか?」「同行者??」
保護者ではなく
「はい!」「合流って??」
「ウィスタリアの西の領地で別行動をとりましたので、私は先に城下に向かったので」「その方は何故?どこに」
「拐かしにあいました。」
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・・・・・・・・・・・・・・・・・・は?