第2章 考察と調査
「どうぞ」「失礼いたします。さぁ、入って」
ジルが承諾したと同時にレオが入ってきて後ろの人物に声をかける。
「失礼いたします。」
声を聴き目線を向けるも姿がない、妙に声が幼い・・・。
レオの隣に頭を下げる子供のような男。
否、子供だ
「・・・・・君は」
動揺を押し込め尋ねる。
「西の国『アルス』より執事見習いとして参りました。ルプスと申します。」
深く頭を下げ顔は見えないものの、礼儀正しく品のある佇まい。
夜の帳の様に美しい黒髪・・・かつてこの王宮にいた可憐な白百合のようなあの人に似た・・・。
「レオ、査定の結果は・・・?」
「文句の付けどころがないよ。
礼儀作法、経済学は完璧だし国外に関する知識は僕よりすごい。帝王学や王室のしきたりはこれから覚えていけばいいんだし間違えなく王族専属の執事になれるよ。実際、王室につかえてたの?」 「・・・・・・・・・。」
レオの問いに口を開くことはない・・・。
「レオ意地悪をしてはいけません。」「そうだね。しかも引っかからなかった。」
「構わないよ。ルプス・・・質問に答えてあげて。」
ルイの言葉を聞き質問に答える
「直接的に王室にお仕えしている訳ではありませんでした。が、アルス国王のご威光とご縁があり此方への推薦状をいただきました。」
「そうか・・・。」「若いのにしっかりしていますね。」
「これは合格でもいいんじゃないの?まぁ、当面はこの城の掃除に費やされるだろうけど。ルイ??」
「・・・・・・・。」
ルイはじっと少年を見た。
『ルイ、どうぞよろしくお願いします。』
礼儀正しくきれいなお辞儀自分が顔をあげるよう促さなければあげることがない頑なさ
『それでルイは本当にいいの??』
僕を案じ憂いてくれた優しさ
『白い花・・・ありがとう』
陽だまりのような笑顔・・・・。
「・・・顔をあげてほしい」
喘ぐように口を開くとゆっくり顔をあげる。
緊張で強張った顔は・・・・彼女に似てはいなかった。
でも、彼女を思い出してしまう。彼女の仕草そのものだった・・・。