第5章 番外編 小さな王様の観察日記
(白馬の場合)
今日はやつがれの家族を紹介する。やつがれの家族はヤヌシのルナどのとルプスと母君の他にもう一人大切な家族がいます。
『おや?レグルス、何かご用かしら??』
それが彼女です。
やつがれより年上でやつがれと同じ白い体毛に真っ黒な目で優しげに話すこの方、やつがれとルプスの『ネエサマ』です。
『そろそろルプスを迎えに行く時間ね。』
ゆっくりと立ち上がる様は実に優美で歩く様は凛々しい。
日がな一日を散歩や母君の手伝いやルプスのお世話をする彼女はとても働き者である。
しかし、母君やルプス以外の人間にはあまり関わろうとせず、また、母君に付き纏う妙齢のオスを見かけるととてもスマートにオスを追い返す頼れる方だ。なれどこの方は怒るととても怖いのだ。
やつがれやルプスがこの間蛙や魚を泥まみれになりながら捕った日、彼女はやつがれを噛んだのだ。ルプスは髪を引っ張るだけなのに何故やつがれにだけ、それにやつがれが悪戯をするといつの間にか現れ、やつがれを叱るのだ。
『ルプス様が無謀な事をなされ怪我をすれば母である主様がとても悲しむ、兄だというなら時に諫め、お守りするのがお前の使命です。』
ルプスもルプスでやつがれとは違い、彼女の毎日の毛繕いはとても丁寧である・・・やつがれのはとても億劫そうなのに
『お前は毎日、時間があれば毛繕いしてもらえるでしょう。私も主様もいつも一緒には居られないけど、空を飛び駆けつけられる羽があるでしょう。レグルス、甘えたい気持ちはわかる。だが、いつも傍にいるお前があの方をどんな時も支え守らなければいけない。』
優しく諭すような物言いでやつがれを窘める彼女に深くうなずくと丁度、ルプスが帰ってきた。彼女はあやすように優しく頬に顔を寄せると『アウラ』と愛らしい声で呼ばれる。
やつがれ、少し不満。
(いつか、行くべき場所にお連れしたなら、もう二度と、あのような思いは・・・今度こそ支え、お守りせねば・・・) 「アウラ?どうしたの??」