第5章 番外編 小さな王様の観察日記
(家主の場合)
さて、今日は『オウチ』いるもう一人の人間を紹介しよう。
「う~ん。やっぱ、この働きはワクチンの・・・」
あそこで机の上で書物を読み難しい顔をしている『ヤヌシ』と言われているルナ。
ヤヌシというのはこのオウチの主で群れのリーダーということだ。
しかし、このヤヌシ、主という割に何もせず日がな一日書物を読み書き物や雛用の餌を作っている。
やつがれはもう『アニサマ』。つまり大人である雛用の餌として細かく肉を刻んで与える必要はない。
が、やはりたまにはルプスに甲斐甲斐しく食べさせてやってもいい。
別に、甘えたいとかそういう事ではない!!
ともかく、これをルプスに食べさせてもらおうと
ヤヌシの傍らに会った餌を嘴で摘み飛ぼうとしたが、
「ピキキ~~!!?」「うわっ!??な、何!!?」
口に感じた今まで食べたことのない強烈な苦み
慌てて水を飲みに飛ぼうとするがあまりの苦さに空中で悶絶してしまう。
棚やら天井につるしてある灯りにぶつかりながら水を探す。
ドカッバタバタ・・・ガチ・・ゴトゴト!!ガタン・ガシャン!!パリン・・・!
途中、色々なものを落とした気がするがそれどころではない!早く水・・・
「こら!!コンの馬鹿鳥!!!」いきなり首を掴まれ暴れる。
「暴れるな!!!吊るしてその羽毟られて焼き鳥にされたくなかったら黙れ!!!」
本能で危険を察知し目の前を見ると母君と似た顔で凄まじい剣幕で睨まれた。
動かなくなったのを確認し、手を離す。
「今度、ここで暴れたらさっきより苦い薬飲ませてやるからな・・・ったく、薬棚の薬草全部ぶちまけやがって・・・。」
お、おそろしい人だ。さすがヤヌシである。今度から気を付けよう。
あの時、飲んでしまった餌は『クスリ』というらしくやつがれの為のものらしくルプスが飲ませてくれた。やっぱり苦いので今度から飲まないようにしよう。
「だめだ。全然飲まない」「レグルス」「ぴょ!!?」
「あらルナが言うと飲むのね。」
うぅ”、やつがれ、辛い・・・。