第5章 番外編 小さな王様の観察日記
(母君様の場合)
やつがれの巣・・・ここでは『オウチ』とよぶのだったか?
そこにはやつがれの他に3人が暮らしている一人はやつがれの弟分で相棒でもあるルプスと『ヤヌシ』と言われているルナともう一人、ルプスの母君である。
ルプスとルナどのは何やら忙しいようでいつも『オウチ』を離れていることが多い。
その為ほぼ、やつがれと母君だけの生活である。
とはいえ母君はお忙しく朝早くには『ヤドヤ』と呼ばれる大きな巣に行き、毎日巣づくりをメスの筈なのに行っている。よほど連れ合いが無精者なのだな
ルプスに『ははさまに迷惑をかけるな』と言われているし、母君には毎日、おいしい食事や水をいただいている。
ここは一つ。やつがれも手伝わねば!!!
「あら、まぁ・・・」
『ヤドヤ』のテーブル以外置かれていない殺風景な巣に、必要な枯葉や藁をいただいてきたのだ!あと近所の同胞たちが使わなくなった布きれを多数
どうだ!!したり顔で胸を張り母君を見る。
「クスクス」
母君はまるで陽だまりの様なのんびりとした穏やかな顔でニコニコ微笑んでいた。
「いたずらっ子さんね」
そう言ってそれがしの頬を優しく撫でた。日差しを受けてやつがれとよく似た真っ白な御髪がキラキラと輝く。
「―――・・・とは大違いね」
か細く何かを呟いたが聞き取れなかった。ジィーっと顔を見てみると何やらどこか浮かない顔・・・。
これは、マズイ。普段悪戯をすればやつがれの大嫌いなアレで済むが母君を悲しませたとあってはやつがれご飯抜きの上『オウチ』に入れてもらえない!やつがれピンチ!!
「ありがとうね。でも、今度からはお花を摘んできてくださいね。」
優しく微笑んでそう言ってくれた・・・。どうやら気のせいの様だ。しかし巣作りの材料ではなく花とはやはりメスなのだな
あい、わかった!!!やつがれ、頑張る!!
「ハァ・・・・この藁やら、ぼろきれ。どうしようかな」