第4章 導きの星は誰を照らす
「ごめんなさい・・・。」
幾分か落ち着きを取り戻りたルプスがそう言った。
目が腫れているが、涙はもうなかった。
「気にすることはない。親元を離れ慣れぬ生活。不安があって当然だ」
「・・・・・。」
「・・・妻もそうだったのかもな。」
突然プリンセスに選ばれ、それでも周囲の為にプリンセスらしく振舞っていた。徐々にプリンセスとして認められていき・・・ここでの生活にも馴染んで・・・、
そう思っていたが、きっと俺の見ていないところで必死に務め、慣れようとしていただけだったのかもしれない。
住み慣れた家も家族とも離され、心細かった筈だ。
だからこそ、花祭りの際も見に行こうという約束をとても喜んでいた。
「・・・・プリンセスはどんな方だったのですか?」
「とても聡明で、優しくていつも自分以外の人間を気遣っていた」
懐に入れていたロケットを開けその絵を見せてやる。
「なによりも愛しい人だ。必ず見つけ出して、今度こそ・・・」
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「やれやれ、この辺の祭って意外とつまんないな。あるのは酒と射的だけとは、もっとこう花火とか大道芸人とか」
「アルスと一緒にするなよ・・・。ていうか何で私の家勝手に入ってるわけ?タダでさえでかい置物がいるのに」
祭りを楽しんでいた際、今日は兄が泊まるという何とも寝耳に水な話をされてしまいめんどくさいながらも部屋を貸してやった。
久しぶりに故郷の上手い飯が食べれるならいいかと荷物持ちとしても使い部屋に戻ったら、何故かこの男が陣取っていたのだ。
「やぁ~宿代全部酒に使っちまった。」
部屋には酒の瓶が所狭しと並べられ中身の大半はこの男と兄が飲みつくした。兄はすでに酔い潰れ眠ってしまっているがこの男は酔い潰れるどころか全く酔っていない。
「なら野宿しろ。得意でしょ?野宿」「調査のための張り込みを野宿と一緒にするなよ。例の薬の件だが、やはり人買いどもに横流ししている奴がいるらしい」
数年前に開発した薬は主に染料として使われているが、人体への影響がないという事から髪や目の色を変えるのに用いられることもできる。
だからこそ他国の者には決して提供しない。しかし、人買いに、だ。その罪は重い
「それでその人物だが、」