第4章 導きの星は誰を照らす
愛する我が子と遠い異国からの客人をもてなしてからしばらく時間が過ぎた。
朝日が差し込むひっそりとしたリビングに飾られた一枚の絵には息子に抱き着かれはにかむ自分の姿。
ここを訪れる人が皆、『実に良い絵だ』と褒められ、時折『この絵に描かれた乙女は誰か』とからかわれる。
こうしてあの子と過ごすのはあの日で最後だ。
ようやく尻尾を掴むことが出来た・・・。
数年前、私は姉の縁あって王家に仕えさせてもらった。
事情を知らない彼らは私を気にかけ、穏やかで安穏とした日々を過ごせていた。
あの日まで・・・・
今は染料として多く用いられている新薬が盗まれてしまった。
当時は劇薬で安全性も保障されていなかった実際、飲んで不調を訴えていたものがいた為開発は中止し研究を続ける予定だった。
その最初の薬が盗まれたのだ。その犯人として私は嫌疑をかけられた。
当時、王妃付の女給として勤めていた私に盗む余裕も必要性も盗みを雇う機会もない。国王夫妻も馬鹿馬鹿しいと否定していただいた。
しかし官僚達がルプスにも嫌疑をかけていると聞かされた。大人よりも優秀で実力を認められたあの子を蹴落とそうと・・・・余所者という理由で・・・、
私はその事を国王夫妻に話、自身が罪を被る代償として王宮を辞しルプスの安全と将来を約束させた。
国王夫妻は承諾の条件として私に一つの任務を与えた。
真犯人を突き止めるように・・。と
ようやくその人物を突き止めた。あとは国王の指示を待つだけ