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[イケメン王宮]グッバイ!racrimosa

第4章 導きの星は誰を照らす


カタン!

「ん?」
物音がして階段の裏側を見るアルバート
「どうかしたの?」
「いや、多分気の所為だ。今日はもう遅いアレは明日にしよう。そろそろ見回りに来る頃だ。」「あーあ、話し込んでたら時間なくなっちゃったアルのせいだよ」「なっ!?貴様!!」
「ねえ、今度ルプスにもアレ見せようよ。絵のことや生い立ちは別としてあの子にはあの場所教えたいんだ。」
「ゼノ様の許可が降りたらな」「大丈夫だと思うよ。ルプスは良い子だし、ゼノ様も大分気に入ってるみたい。ああしてると本当の親子みたいだよね。」
養子の件に関しては周りが騒いでいる為保留だが落ち着いたらゼノ様に進言したい気持ちもある。彼が来てから幾分か国王も落ち着きを取り戻し、プリンセスと共にいた当時の様な穏やかな表情を見せる様になった為だ。
しかし、ルプス自身はどうだろう。いきなり父親として名乗りを上げられても困るだろう。だが、ゼノ様に対する彼は、自分達より何処か親しみの様なものを感じる。
でもそれは願望が見せる偶像でしかない。

以前は馬鹿馬鹿しいと言ったが、共に過ごし情が湧いたせいなのか、本当にプリンセスやゼノ様に似ているからなのか、それすらわからないのだ。
記憶に残るプリンセスの姿を思い起こそうとしても薄闇にかかった様に思い出せない。

それ程まで6年という月日は我々にはあまりにも長すぎた。



「痛っ、こんな所に何で隠し部屋が?」 ルプスが体を預けた場所は偶然にも隠し部屋の入口だったらしい。彼らが入ろうとしていたのはこの部屋のことなのだろうか?
定期的に入っているのか埃は少ない。が塵一つない城内でこの部屋は異質だった。時間に取り残されている様に、

どうせ今出て行っても見つかって怒られるだけ、俺自身もどういった対応をしたら良いのかわからないとても平静な態度は取れない。ならば七不思議で聞いた宝物を見つけてやろう。そうすれば嫌な事は全部忘れる。
探検してみると中は案外広く、ブリキのおもちゃや宝の地図みたいなものがあった。三人の子供が昼寝している姿は何とも微笑ましい。ふと奥張った所に置かれた大きなカンバスを見つけ好奇心に駆られて絵を覗き込む。
年若い二人の男女の肖像画、優しく微笑んでいる姿は何とも幸せそうであった。しかし、目にした途端、胸の奥がスーッと冷えた。
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