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[イケメン王宮]グッバイ!racrimosa

第4章 導きの星は誰を照らす


祖国を離れて、久しぶりに肩の荷を下ろして楽しんだのは久しぶりだった。大好きな母に送る為の手紙を書く為の筆はまるで氷の上を滑る様に良く進む。

返事はけして届く事はないとわかっていても寂しくはなかった。また故郷に帰れば母は話を聞き、笑顔で答えてくれるだろう。
母に届けた手紙は毎日読み返してくれていたのがわかるくらい丁寧に扱われながら折り目だらけにいつもなっていたから

でも、

この国に来てから、否、祖国の王から手紙が届けられてからふと不安が過ぎる。未だ封を切らずいる手紙。
母に黙ってこんな事をしていいのだろうかという罪悪感。
この手紙を読んでしまったらきっと今まで通りの生活は望めない。そんな不安とが合わさり一歩が踏み出せない。


「・・・やめよう。」
考えたところで何も思いつかない。取り敢えずこの手紙をレグルスに任せて今日は休もう。

そう思って、部屋から出る。この部屋には外へと向かう為のバルコニーも窓もない。
隣の王の私室にはあるが、入る勇気は未だ持てない。
夜は出歩かない様に言われてはいるが、今日だけ大目に見てもらおう。

真っ暗な回廊はとても静かだった。あまり絵画を飾られていない為たまに見かける人物画が此方を見ている様な気がして怖い。
そういえば、最初にこの城に来た時『シュタイン城の七不思議』なるものを聞いた。まぁアルバート達が夜、俺が外に出ない様に脅しをかけてただけだろうが、一応恐がってみせた。
が、実際こうして人気のない回廊を進んでいくと何でもないものも地味に怖かった。

大階段を降り、あとは中庭に出るだけと言うところで自分以外の足音が響く。
とっさに階段の脇に隠れ様と手すりを滑り降りる。
「あいてっ!?」
勢い余って落ちて顎を強打したものの何とか隠れる事に成功。

「今何か声がしなかった?」「何もいないぞ気のせいだろ?」
どうやら国王側近二人らしい、よかった。バレてない。
と思いつつ、この国の警備これでいいのかと疑問にも思えてしまう。
「まぁこの時間にこの階段来ようって人はそういないけどね。何せでたらめな噂だらけの七不思議の中でも信憑性の高い確かなヤツあるもんね」
「またその話か?」
階段?階段にまつわるものって言えば数の変わる階段のことかな。しかし、この階段の周りには絵画も部屋も多く点在してる。

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