第4章 導きの星は誰を照らす
噂をすれば此方に向かって、走ってくる悪漢。手にはナイフを保持している。
「レグルス!襲え!!!!」
ピィーーーーーッッっ!!!
澄んだ青空に甲高い鳴き声が響く。
「うわぁ!?何だ⁈こいつ、ツっ!?やめ、は、離せ!?」
ナイフを振り回し交戦するも、レグルスは物怖じせず果敢に立ち向かう、鉤爪が腕や目に引っかけ、髪を思いっきり引っ張る。
荷物から手を離した隙に回収し、指笛で合図する。
「もういいよ。レグルス。ナイフはどっかやって」
声に応じ、ナイフを持った手を鷲掴み奪い取り、此方に戻って優雅に毛繕いする。
「うわぁー、変なナイフ。欠けてる上あちこち錆びてて使いもんになんないじゃん。こんなんで良く脅しが効いたね。俺ならこんなナイフ恥ずかしくて使えない。」
錆だらけのナイフをジャグリングする大きなものの割に軽い・・。
「このクソガキ。良くもやりやがったな!?」「??何を?
やったのはうちのレグルスだけど俺関係ないよね?動物のする事だし」
「・・・・おい、あんま調子のんなよ。子供だからって容赦しねーぞ」
「子供相手にムキになるなんて、大人のする事じゃないですね」
「なぁ、あいつ挑発してない?」「ルプスは意外と喧嘩っ早いのよ・・・アルスでは強いものに従うっていうのが基本だから・・・力を示せば年齢も身分何も関係ないの。
現にあの子は他国への推薦を大人や英才教育を受けていた貴族連中達からもぎ取った。」
今だって、たかが盗人相手のしかも丸腰の相手に後れを取るような子ではないだろう・・・。レグルスもいる事だし。
「まぁまぁ、せっかくのお祭りなんだし、少し穏便に進めるのも悪くはないんじゃない?そうだな、あの弓射で3つの的を射れた方の勝ちなんてのはどうだ?
ルプスが勝ったら盗んだものを返して獄舎行き
負けたら、盗んだものは返してもらいその額の倍私が出そう。」
「へっ!姉ちゃん随分小僧に肩入れしてるみたいだがいいのか。俺だって容赦はしないぞ。」
「情けなんて結構ですよ。そういう舐めた態度一番嫌いなので・・・。」
天真爛漫な笑顔とは逆に目はひどく凍てついていた。