第4章 導きの星は誰を照らす
「しっかし、すげー賑やかな祭りだな。ウィスタリアとは違った雰囲気で俺には新鮮だわ。あっ!あれ何?あの樽」
酒場の前に置かれた大量の樽。体格の良い男達がそれを抱えて飲んでいる。道端に倒れている人も沢山いる。
「あぁ、アレはワインですよ。3リットルの樽に入ったワインを一気飲み出来たら今年一年幸福になれるっていう。
あっちでは地方ワインの品評会あるし、あそこはワインの飲み比べだね」
「ワインばっか・・・。」
「あちらでは麦酒を配ってますね・・・。」
「酒ばっか・・・・」
「そこの若い人達一杯どうだい?うちのワインは世界一だぞ」
そう言って全員に酒を渡すおじさま
「ちょっと待て。子供に酒渡すな、おっさん ルプス貸せ飲んでやる。」
「・・・・・ピノ・ノワール」
「何だ?坊主・・・ワインに使われてる葡萄わかるのか??じゃあ、こっちはどうだ」
「・・・カベルネ・フラン・・・向こうのはムニエですね。」
「良くわかるな・・・。」
「村でもワイン作りはよくやるんで・・・。葡萄も結構な量、栽培してますし
アルスでもワイン祭りがあるので・・・普通に食べる祭りはないのに」
「葡萄好きだしな、お前。でも飲むなよ」
「いや、飲まないし。」
そう言ってルナに手渡す。よく見ると花や織物も売られている。
ふと街の中央がヤケに賑わっている。
「あっちの出し物はなんですか??」
「ん~、騎士たちの出し物っぽいな」
「あ~本当だ。模擬戦してる。おっ!あの兄ちゃんなかなかの騎馬だな立って乗ってる・・。」
「フレイ地区の夜警団とシュタイン城の騎士たちの出し物ですね。毎年やってるんですよ。今年は弓射もあるし
参加者には蒸留酒が振舞われる・・。」
またも、酒・・・・。
しかし、弓射は見てみたい。人が多くて良く見えないが、
「ソル・・・肩車して、俺も見たい」「え?俺かよ」
そう言いながら、すぐに俺の脇に手を入れて肩に乗せてくれた。
「おぉ~凄い、あの人結構凄いよ。師匠と同じくらいだ。」
「へぇ、そりゃまたなかなかの射手だな。参加してくれば」「いいよ。別に・・・」
しかしにぎやかだ。こういった賑やかな場所ではスリや引ったくりも多い事だろう
「ドロボー!!!」
噂をすれば・・だ。