第4章 導きの星は誰を照らす
「困るんだよな~・・・見習いだろうがお抱えだろうが勝手に他国の臣下に召し上げられるの」
「あたし、連絡したんだけど???」「俺は研修ってだけで召し上げられたわけじゃないよ」
「俺たちにその情報が行き届かなかったら意味ないだろ?だからこうして遠路はるばる監査に来てやったの。まぁ相方はここには一緒に来なかったけど」
心底めんどくさいと言った風体で周りを見渡す。
「アンタがここの王様?困るんだよ、どういった経緯で召し抱えようとしたか知らないけど。仮にもこいつら国の重鎮なんだ。研修先がウィスタリアからシュタインに移ったくらい一筆書いても良い筈だろ?
そうすれば護衛だってちゃんとできた・・・。」
「どういうこと?」「何だお前知らなかったのか?この間の騒ぎ、アルスの機密事項探ろうとしていた輩だった。」
「この間・・・?」「お前が城内で倒れていた時の事だよ、覚えてないのか?なら、まぁいいや。とかく焙り出してやったからその件は心配ないが・・・あまり心配をかけるな。」
そう言って頭を乱雑に撫でられる。
「まぁ!せっかくの祭りだし俺はあたり散策してから帰るわ!また離れるけど、寂しい思いはさせないよ。愛しい人」
「うっせー、二度と姿見せんな。」
「あ~、本当に冷たい。そっちのお兄さんは、うわさに聞くハニーのお兄さん?かっこいいなぁ、馬鹿そうで」
「・・・・・・・・・・ほぉ~~~」
青筋が浮かんでいるが相手は気にする素振りがない。
「聞きましたよぉ~、坊の母親見に単身乗り込んだは良いけど、不在だった上、居所探ろうとして、村の人間の不興を買ったと、監査の者たちも言ってました。まるで人買いの様だったと」
「あぁでも国王は『こんな阿呆な人買いはいないから大丈夫だろう』って言ってたので捕縛対象にはならなかったんですよ。良かったですね~豚箱放り込まれずに済んで。」
「じゃぁ、俺、もう行くわ。最近アルスも何かと物騒だけどここよりかはマシ。早めに帰るといい。余所者で行く場所がないならな・・。」
「・・・・・・・・。」
彼は俺達をひどく毛嫌いしていた。
昔から・・・・。