第4章 導きの星は誰を照らす
街の色々なお店を見せてもらった後、ルナのお店の前に来た。
初めて来たが何処か村に建てられた家に趣が似ている。
「あぁ、いらっしゃい」
店の中に入ると家に戻って来た様な気になる。薬草棚、すり鉢、食器棚、テーブルの配置がまったく同じだからだろう。
「お、シュタインのトップ3お出ましとか凄いなぁ。にしてもこの茶すげー美味い。何個か見繕ってくれ金はこれくらい。」
「あれ?ソルが何でここに?ウィスタリア城で無償労働してなかったっけ?」「ついに解雇か?」
「ははは、ここの騎士様達って俺に喧嘩売るの好きだよねー。マジで買ってやるぞ」
ニコニコと笑っているが目が笑っていない。こういう怒り方見ると兄妹なんだなと思う
「ここで暴れんな、全員叩き出すぞ。はい、この料金だと三種盛り合わせね。」
そう言いながら俺の額に手を添え、ホゥと一息つく。この分だと大丈夫なのだろう。
「薬ちゃんと飲んだのか」「ほとんど寝てたけどちゃんと飲んだ」優しく笑い頭を撫でてもらう。と
「おい!?この量でこの値段って高すぎないか?!もうちょい安くしろよ身内だろ」
提示した料金と薬茶の種類だと確かにちょっと吹っ掛けてるな
「あぁ!?私の薬茶にケチつける気か!?!大体身内だってだけで何で割引かないといけないわけ?」「普通は割引だろ!?」
「いつもよりレート高いね。どうしたの?」
値札も村や城下で売っている額の倍以上ある。
「ここだと薬草があんまし手に入らないんだ。定期的に自分で摘んだり、取寄せしたりしてやってるけど時間も品質もガタ落ち。
その上、今薬草殆ど切らしてて入荷待ちなのよ。」
「入荷いつ来るの?」「今日の筈なんだが何かあったのか一向に来る気配がないんだ。もうそろそろ来て良い筈なんだが」
チリリ、
扉に取り付けられたベルが涼やかな音を立てる。
背は扉につくかつかないかと言う長身。マントに隠れているがかなり大柄でどっしりとした体格の様だ。指笛を作る手はゴツゴツしていて拳ダコが出来ている。
指笛と共に無数のイヌの様な生き物が荷物を加えて中に入って行く。中に入ってるのは薬草。否、良く見たら狼達だ。嫌な予感がする。マントが外れ、灰色のザンバラ髪に茶色の目、まるで巨大な狼の様な姿を見た瞬間心臓が凍りついた。