第4章 導きの星は誰を照らす
『こっちに来るなよ!』
子供特有の高くよく通る声が聞こえる。泣き声と共に・・・。
『ぅ・・・ぐす・・・。』
この声は自分のものだ・・・今より幼い3つか4つの頃か、目の前には少し意地悪な顔をした今の自分と同じくらいの少年。
見覚えのある・・・
『出てけよ。ヨソモノ!!』
あぁ、これは過去の記憶だ・・・。
『余所者のくせに何でお前たちが城にいるんだよ!!』
『ヨソモノ、ヨソモノ!!!』
ははさまがまだお城でメイドをしていた頃だ。
『余所の国の人間のくせに!!知ってるぞ!お前の母さん、『自分の住んでた国でつみを犯した』ってだからお前の父さんに捨てられたんだって、余所者のうえ捨て子なんだぜお前』
『さっさと国に帰れよ余所者!!!』
体が弱い母を気遣い薬師様が目の届くところで診れる様に国王様に掛け合って、母は王妃付のメイドとなった。
その縁もあって礼儀作法を見てもらえるようになった俺を当時の母の同僚の子供達は気に食わなかった。
こうして母や大人たちの目の届かない時はイビリがあった。
殴られたり蹴られたり、そう言ったことに慣れてない上、自分も知らない出生について言われるのがとても辛かった。
自分にないものを言い連ねられることがとても苦しかった。
それでも、母には言わなかった。周りの人たちが母を蔑んでいることを・・・母は優しいからそのことで怒ったり泣いたりはしないだが、俺がそう言われて深く傷つくことを何よりも悲しむだろう・・・自分が与えることが出来ない事を何よりも責めるだろう。
だから、隠しておこう、そして母を蔑にするものが出ないよう俺が守ろう。その為に頑張ろう・・。
ウィスタリアにいて忘れていたんだ。
王宮というものがどれほど、恐ろしく愚かで・・・醜い場所か・・・。