第4章 導きの星は誰を照らす
スピネルが忙しなく羽をばたつかせ窓を警戒した。ゲージで暴れ出す。
「スピネル・・・どうした?」
出してやり首を撫でてやるが落ち着かない。
窓にはスピネルの白い体が映っていた・・・。
いや、違う
「ピュイ・・・」
スピネルではなかった。スピネルより小柄で若干ほっそりとした体躯に大きなくちばし目は凛々しく神々しい。
真っ白な体毛にはところどころ血が付いている。
「怪我をしたのか?」窓を開けて入れてやろうとすると飛び去った。
スピネルが後に続き空中を旋回する・・・。
中庭の方か・・・・あの場所は
「ゼノ様、失礼します」ユーリの声がする。
「お休みの所申し訳ありません。」アルバートの申し訳なさそうな声
「構わん。どうした??」
非常事態なのだろう・・・。
「ルプス・・・こちらに来てませんか?」
「部屋を訪ねたら留守だったようで・・・鍵を持っていないようだったので」
「?どういうことだ」
留守のはずなのに鍵を持っていない・・・。
「白鷲を探しに鍵かけずに出て行ったら、執事たちの僻みで、今回鍵を取られちゃったみたいです。」
一人だけ目をかけているつもりはないのだが・・関わりを持った所為で煩わしい目にあっていたのか。
「その執事に対してはちゃんと厳罰しましたのでゼノ様の手を煩わせることはありませんが、最近官僚たちの動きが不穏なので・・・」
先程の白鷲不自然な血の付き方をしていた血の量の割に羽を痛めていた様子はなかった。
「・・・・・。」無言で部屋を出る。アル達もついて行く
スピネルはいまだ星降りの庭の上を旋回している。
その真下にたどり着くと
「ピュイ・・・ヒィイ・・」
小柄な子供が噴水のすぐそばで倒れていた全身がずぶ濡れで髪を縛っていた麻紐は解かれ黒い髪の隙間から紙のように白い肌がのぞく
白い鷲はか細く小さな声で頬をつついているが微動だにしない。
急いでユーリが駆けよる。口元に手を当てて安堵の息が漏れる・・・・気を失っているだけの様だ。
「俺の部屋に運べ・・・ここから一番近い。アル医者を・・・」
水で張り付いた髪を指で払ってやる・・・目を閉じたその表情は愛しい人に生き写しだった。