第4章 導きの星は誰を照らす
「おーい、レグルス~!出てこい、もう怒ってないぞ」
飯抜きを言い渡したが、さすがに今日はかわいそうだ。
そうおもってレグルスが好きな鶏のささ身を用意した。
どんないい肉でも気分や古ければ絶対嫌がるあいつだがこれだけは多少古くなっていても平気で食べる。
一番の好物といってもいい
ささ身限定ではあるが安価で手に入るしその点では手のかからない子だ。
しかし、声を張り上げても一向に出てこない。
参ったな~この国は本当に何故か寒い夏だというのに体の芯から冷えていく感覚だ。
急いでレグルスを捕まえて暖を取らねば
「中庭に出てみるか・・・。」
空が広く見える中庭を見渡してもやはり相棒の姿はない・・・どこに行ったんだか
一度部屋に戻るべきだろうか、考えていると
ドン!!
何かに押され体が傾いた。
大きな水音と共に全身を刺すような冷たい水が浴びせられる。
目の前には揺らめく月と星・・・噴水の中に落とされたのだ。
「へっ!ざまぁみやがれ!ちったー頭冷やすんだな」
いつも自分を目の敵にしてる人だ。本当に幼稚だな・・。
言われた通り少しだけ水の中に潜っておくすぐに起き上った時にまた水に押し付けられたら困るし、
足音が通り過ぎた・・・そろそろか
「・・・ッゲホ!・・・・ぐっ!!!ガボ!!・・・ブッ」
起き上がり、一度、咳をしていたらもう一度頭が水へと押し付けられた。
息が思うように出来ない・・・。必死に抵抗するが
『・・・・―――んじゃねぇ!!』
強い力で抑えつけられた、声が聞こえる泡が邪魔してよく聞こえないが大人の声だ。聞き覚えは恐らくない
水から引き上げられる。
『おい!――――――でいいのか』『あぁ、あの――とかいう奴がいっ―――』『こ―――は何―――運ぶんだ』『――――だ』
官僚たちの誰かに雇われたのだろうか?だとしたら誰が・・・必死に声を聞こうとするのと裏腹に体が重くなってくる。
助けを呼ぼうにも知り合いも頼れる人もここにはいない。
ウィスタリアのプリンセスもこんな気持ちだったのだろうか・・・。
「は・・・は・・さま」
薄れゆく意識の中真っ白な星が僕に降り注いだ。