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[イケメン王宮]グッバイ!racrimosa

第4章 導きの星は誰を照らす


さて用事は済んだし、そろそろ帰ろうかと中庭で遊ばしていたルークを迎えに来たが肝心のルークの姿がない。

中庭から出るなとは言い含めたが一体どこに・・・?

「ひぎゃあああぁぁぁ!?」
恐怖に引き攣った声が中庭から響いて来た。声からして子供の声だ。何だって子供が、疑問が過ぎるもとりあえず見に行く。


「・・・・ぅ・・・・・ぁ・・・っ」
声がした方へ向かうとやはり子供がいた。年は6つ位、少し長めの後毛を麻紐で括っていた。清楚な白いシャツと短パンから覗く足は泥とかすり傷、顔は恐怖に引き攣り紙のように白く藍色の瞳から大粒の涙がこぼれ落ちた。
よく見るとルークが尻尾を振って近づこうとしている。

「お前、何してんの?」ルークに対しての言葉だったが、子供の方が振り返った。 俺が陽の光を遮っている為か瞳の色は深い紫に見える。夜空の色だ。

「あ、あの、俺・・・いや、わたしは「ウォン!」ひっ!?」
子供は俺の身体を盾にしてルークから隠れる。ルークは不思議そうな顔をして子供の方へ近づく。
「・・・・ルーク」少し語尾を強めて名を呼ぶとルークはその場に腰を落とす。

「おまえ、ここの見習いか?」「は、はい。ウィスタリアの執事見習いで、ここに勉強に来てます。」「ここへは休憩に?」「いいえ、庭師の手伝いをした帰りです。不注意で戴いた花を落としてしまって」「アォン!」
子供の声に反応してルークが俺に近づくよく見れば薔薇の花を咥えている。
花を受け取るとルークが中庭の周りに散らばった花を咥え、俺に渡す、この作業が何度か繰り返された。
子供はルークが俺に近づく度に息を潜め震えていた。
俺は受け取った花を子供に渡す。最後の一つをルークが咥えて来た。
子供は今だ震えていた。
「大丈夫、ルークは噛んだりしない」
子供に前へ出る様に促すと恐る恐る歩み寄る。子供の小さな掌の上にルークが花を乗せてやると子供はぎこちなく手を伸ばし頭を撫でてやる。
 
 「アオォーン!」「うわぁ!ひゃ?ま、あははは」

 ルークが嬉しそうに飛びつき子供の顔を嘗め回すと限界とばかりに笑い声をあげる。
 恐怖は消えた様だ。
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