第4章 導きの星は誰を照らす
レイヴィス=ハルナイトは隣国ドレナとの会談を済ませてきた報告の為シュタイン城に顔を出しに来ていた。
このシュタイン城に入ったのは久しぶりだ。ほとんど他国との交流や親睦の為、国にいなかった為だ。
ここの無機質で静かな城の雰囲気は嫌いではない。
しかし、遊び盛りのオオカミ『ルーク』はつまらなさそうにしていた為ゼノに許可をもらって中庭で遊ばせていた。
「そうか・・・ドレナはまた他国の侵攻を・・・」
「こちらに協力要請を願いたいと言っていました。ウィスタリアの同盟を解消してこちらと・・・とも」
「同盟も協力も出来ないが、答えを先延ばししておいてくれ、下手に刺激をしてあの国に脅かされるのは避けたい。」
「わかった。まぁ、同盟を組んだとしてもシュタインに影響はないでしょうけど」
「・・・・・・。」
たとえ我が国は影響がなかったとしても、拒否すればウィスタリアに矛先が向いてしまうかもしれない、逆に組んだとしても、ウィスタリアに進行する危険性もあった。
「そっちの進展は・・王妃様見つかったの?」「貴様・・・」
「・・・いや、まだだ。ドレナでそれらしき人物は」
「いたら、ちゃんと報告してる」
レイヴィスはプリンセスと直接の面識はない。7年前ある人物を探すため今以上に他国との交流をしていた為。
会う機会がなかった。探し人の描いた絵の彼女とゼノの話でしか彼女を見たことがなかった。
「いっそ、諦めて別の妃を迎えた方がいいんじゃないの?」
側近たちが今までにない位険しい顔をしていたが、7年間無駄に浪費している人件や経費を考えたら諦める方が利口だ。
愛だの恋だのそう言った不確かなものに囚われなければ
「それは出来ない・・・。たとえどれだけの時間を費やし、どれだけ人に暗君と罵られようと、彼女だけは・・・」 しかし、それが出来ないからこそ王は探していた。
国益を考えればレイヴィスの言い分は正しい。
描かれた絵の人物にそれほどの価値があるのか、確かに聡明そうに見えた美しくも凛としていて可憐であった。しかし、それだけの印象だった。
「では、我がフレイ地区の夜警団の者をそちらに協力させましょう」
会えば何かわかるのだろうか?
「・・・・すまない。頼む」