第4章 導きの星は誰を照らす
なんで!?なんで!!?どうして!!!
狼がこの城にいるんだよ!?普通森にしかいないとばかり思っていて警戒してなかった。
しかし、あの姿は間違いない・・・。さっきからトコトコと軽やかに音を立ててこちらに向かってきてるが、俺にとっては怪物の闊歩のように聞こえ、身がすくむ。
子供とはいえ、いつ襲いかかってくるかわからない。ここは森ではないんだお腹を減らしているかもしれない。
・・・・・もし、捕まったら――――
「――――っ!??」
走りながら頭をブンブン振り回す。想像しただけで恐ろしい。ともかく、お城の方へ走って――――
「うわぁ!!?」
お城の方へと目線を運び、足元がおろそかになったらしい見事に躓いた。
「いててて・・・あれ?花は」
手に持っていた花が見つからないきょろきょろすると狼が一輪の薔薇の花に興味を示したのか匂いを嗅いでいる口が大きく開いた。
「だめ!!それ俺の!!!」
声を出すと狼がこちらに目を向ける・・・声をあげるべきではなかった花に興味を持っている間に逃げていれば・・・
しかし、
少し萎れてしまっていたとしてもあの花は自分がもらったものだ盗られたくなかった。
こちらに近づいてくる。
「ぅ・・・ぁ・・・っ!?」
こうゆう時、婆様はなんて言っていたっけ??駄目だ、思い出せない。
『狼は、我らの祖であり、森のよき友、敬い畏ることが大事だ』
こわいこわいこわいこわいこわい!!
悲鳴を上げないように口元を必死で抑え後ろへとたじろぐ。足が竦む、歯が噛みあわずガチガチと音を立ててる。夏だというのにひどく寒い
限界とばかりに目を閉じると
「・・・・なにしてんの?」
低くよく通る声が聞こえた。
見上げると上背の男、黒い上品なマントを纏い銀色に輝くレイピアを腰に差していた。
鳶色の髪は日光を受けキラキラと輝き、昼の空の様な澄んだ青い瞳を細めこちらを見ていた。