第4章 導きの星は誰を照らす
いただいた薔薇はとても綺麗だった。
「あとで押し花してははさまにプレゼントしよう。」
母は喜んでくれるだろうか?いつも花をプレゼントすると、贈った花さえも霞む位柔らかく陽だまりの様に花の様に可憐で綺麗な笑顔を向けてくれる。
沈んでいた心がウキウキと燥ぎ出す。
「なんだ~?新入り、仕事サボってのんびりして」
「早速、また誰かに取り入ったのかやだなぁ媚び売って」
・・・・・・・・・・・せっかく気分がよくなったのに
「・・・頼まれていた掃除はちゃんと終わりました。」
「はっ!馬鹿言うな、この城の廊下は広いんだよ。子供がこんな短時間で終わるわけないだろ」
「・・・一人でやれとは言われませんでしたよ。大体子供一人にやらせている何てふつう考えたって非効率的じゃないですか?まぁ、言われていた西側は俺一人で全部やりましたけど」
床を汚されていただけだったので絨毯全部外して、モップ掛け3往復位で終わった。幼稚ないたずらだった。
「はぁ~!?嘘だろ?俺だって3人でやってせいぜい3時間はかかったのに」
「あぁ、そうなんですか?私、宿屋の手伝いしてたから掃除は得意なんですよ。ずいぶん手際が悪いんですね~
それか、よっぽど相方たちが苦手なのかサボっていたか・・・ですね」
「うぐっ」「なっ」「おい!餓鬼のくせに嘗めた真似してんじゃねーぞ」「そのガキ相手に幼稚なイビリしている貴方方に言われたくないな。悔しかったら、実力を見せてくださいよ」
「餓鬼のくせに生意気言いやがって、花なんてもらってそんな嬉しいのかよ」そう言って花を奪い中庭の森へと投げてしまった。
そのまま踵を返す・・・。
「・・・・。」
実に幼稚な嫌がらせだ・・・。怒る気にもならない。
花の前に行き丁寧に花を拾う・・・ところどころ歪み潰れてしまっている・・。
それが無性に悲しい・・・。
唇を噛み締め涙が出ないようにする・・・。
「ワォン!」
犬の鳴き声がする・・・顔を上げると子犬が尻尾を振りながらこちらを見ている。
否、犬じゃない。目が吊り上っているし、足も太いそして何より前歯が大きい
これは―――!!!
「ひぎゃぁぁああああああ!!!!?」