第4章 導きの星は誰を照らす
「すまないなぁ、儂の仕事なのに手伝ってもらって」
「いいえ、」
掃除もある程度済ませ目途がついたので庭を散策していたら、庭師の人が腰に手を添えながら庭の手入れをしていた。
中腰の作業の上、最近は腰に爆弾を抱えているらしいので手伝いを買って出た。
「しかし、手馴れてるなぁ・・」雑草や枝の選定の様子を見て呟く。
「実家の近くに大きな森があってそこの木々や村の人の畑の手入れをしていたので・・・」
こうして仕事ぶりを見ていると村での生活が反映しているのか植物分野で有能ぶりが特化していると自分でも思う。
自分にとって植物の手入れは息をするくらい自然なことだ。食事の大半が野菜だし野菜は自分の家で作ったり、村の人と交換したり、森に入って取って行ったり・・・。
だから庭の管理とかも自然と何をすればいいのかわかる。
しかし、庭師の仕事は庭を美しく見せる事・・・専門外であった。
大輪の美しい薔薇を選定する姿をまじまじと見る。
「薔薇の選定は見たことがないか?」「薔薇自体が少ないので・・・野薔薇とかワイルドローズ位しか・・・なので選定もあまり・・・この土地は薔薇が多いんですね・・。」
「薔薇はゼノ様の母君が好きだった花でな、プリンセスにもよく贈っていたのさ」
「プリンセスがお好きだったお花はどの薔薇です?」
「さぁね~、儂が送ったことはなかったから、存じ上げないが、ゼノ様がよくお贈りしてたのはこれですね。淡い色でプリンセスによく似合うと・・・名もプリンセスの名前が入っているので好んで贈っていましたな」
白く中央が明るい色の綺麗な蔓薔薇だった。
「これ、プリンセスのお部屋に飾ってもいいですか?この間花を落としちゃったんだ。」
「あぁ、構わないよ。・・暇なとき来なさい。選定の仕方を教えよう。そうすれば自分で花を飾れるようになるだろ」
「ありがとう!!」「お礼はこちらもだよ・・・。」
花は僕の手にはとても大きく、ほのかにやさしい香りがした。