第4章 導きの星は誰を照らす
あの部屋に入ったのは掃除の為だが、確かめたいとも思った。
母が本当にウィスタリアのプリンセスならば部屋に入れば何かわかるかもしれないと・・・。
母に結局聞けず、こんな事をするのはおかしな事だ。
自分自身がこれからどう向き合いたいのか、考えたいのか、
母と繋がる何かなんてある筈がない・・・そう確かめたいだけなのか・・・。さまざまな思いが頭を掻きまわす・・・ズキズキと頭が痛い。
そんな事を思いながら部屋に入った瞬間に見えた白い影
「うぎゃぁぁああああ!!!」
あらん限りの声を出した。その後はとにかく近づかれないように部屋を走り回った。
途中何かを落としてしまったが、正直それどころじゃなかった。頭乗られるし、重いし、声不気味だし、わけわからないし、とにかく助けてほしかった。
助けがまさか国王陛下とは思わなかったが、やはり無表情でこちらを見る目・・・。
そんな目が少し変わったのは部屋に会った靴を見た時だ。
とても綺麗でおとぎ話に出てくるガラスの靴のようだ。
否、それ以上に綺麗だった、大体、本当にガラス製の靴とか、歩いた途端すぐに割れそうで怖い・・・割れたら大けがもいいところだ。
フェアリーゴットマーザもなんだってガラスの靴を・・・
おっと脱線、靴を見る目は愛おしくも悲しく苦しそうだ。
目の届かないところに置きたいのだろうか、
しかし、それでは駄目だ。そう思った。綺麗な箱にたくさんの花を敷き詰めて靴を入れた差し出して見せると少しだけ微笑んでいただけた。
ユーリやアルバートさんはとても忙しい。国王の側近なのだから仕方ない
「やる事、あんまないし暇・・・。」
自主的に銀磨きとかも考えてみたが、そもそも扱える銀器がない。借りれればいいが、王室の物なんて指導のためとはいえけして触らせてもらえなかった。
どうしたものかと考えていると目の前に官僚が通る。
「おや、これはウィスタリアの小姓どの」
ここに来て数日経つがこの人たちは特に不愉快だ。今まで国外の官僚たちを見てきたが、あからさまな敵意を向けられたのはこの国が初めてだし、
「ところで母御からの文はいかがでしたか?」
会うたびに母について聞かれるあからさまな嫌味もよく聞く上、母に会わせるようにとも
「母は体が弱いため、国から出ることが出来ません」
嫌気がさす。