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[イケメン王宮]グッバイ!racrimosa

第4章 導きの星は誰を照らす


執務が終わり、私室へと戻る。
いつもと変わらない部屋だが、僅かにスピネルが落ち着かなく羽を動かしていた。

籠から出してやり、首を撫でてやるが効果がない。
羽を広げある場所に止まる。

「・・・・」「ホーホー」

隣室へと続く扉だ。この6年。掃除は命じても自ら入る事は決して無かった。入ったところで部屋の主はいない。

「プリンセスはいないぞ・・・・。」
この言葉は誰の為だろう?スピネルの為なのか自分の為なのか最早わからない。

此方を見るスピネルの目、深い溜息と共に部屋の鍵を構え開けてやる。

嬉しそうに入って行く。


そして、

「ギャアアアァァーーーッッ!??」


悲鳴が聞こえた。
恐怖で引き攣った声と共に忙しなくバタバタと駆ける音と調度品が倒れる音。

「うわぁ、ま、待って。頼む、お願い!こっち来ないで!!!」

覗き込んで見ると、昨日きたウィスタリアの執事見習いが蹲っていた。

掃除をするつもりだったのだろうか、細長い棒の先端に布がつけられた道具を今はスピネルの前で振り回している。

スピネルはそれを軽やかに避け彼の頭に乗る。

「やめて、ごめんなさい。頼むから、降りて、マジで勘弁して、すんません!!」
相当パニックになっているのかいきなり謝りだす少年。首を振り回し何とかおりて貰おうとしている様だが、スピネルは心地良さげに目を細めている。ここまで初対面で懐くのは珍しい。と関心するが、
「うわぁーーん、ははさまぁ!?」ルプスの混乱はピークに達したのか泣き出してしまった。
流石に憐れに思い、
「スピネル、来い。」声に反応し、ゼノの肩に止まる。立てないのか座り込んでいた少年に手を差し伸べる。

「す、すみません。お手間をとらせてしまいまし・・・た?」
手を取り立ち上がろうとした体勢で少年は固まった。

「・・・大丈夫か?」「ゼノ国王陛下。な、何でこちらに?」
何故と問われても・・・・、

「城の中にいても不思議はないだろう。スピネルが迷惑をかけたな」「い、いえ、此方こそすみません。お部屋片付けます!塵一つなく、直ぐ出て行きます!ので頼むからその間そいつ閉まってーーー!!!」
立ち上がると同時にゼノ達から1番離れた場所まで駆けて隠れる。

パニックを起こさせた当のスピネルはキョトンとしている。
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