第4章 導きの星は誰を照らす
洗濯物は思いの外時間がかかってしまった。この国の水冷たすぎ、今夏真っ盛りなのに、冬とか大変だろうな
「冬は浴室のあまり湯を使わせて貰えるから大丈夫よ。夏場は流石に使わないけど」「それやるなら、いっそ浴室掃除の時にシーツも洗っちゃえばいいのに、ウチのははさまはいつもそうしてる。」
朝早くに起きて、昼前に宿屋のシーツを全部回収して一気に洗うのだ。因みに洗濯機もあるのだがシーツ類は時間がかかるので使用しない。たまに村の人達全員でシーツを洗う時がある。今思うとあの光景も特殊だな。
「ここの人達、お風呂に入る時間が疎らなのよ。」「あぁ、それで」
フェートは質問やこちらが話す事を嫌な顔せずに丁寧に話してくれ聞いてくれる。優しい人だ。
「ルプスの住んでいた所は暖かい場所なのね。」「うーん、夏はここより熱いけど冬も多分おんなじ位寒いよ。雪も俺の腰くらいまでは降る。 だからその時期は特にシーツを洗う人が増えるの、手伝えばほぼタダでお風呂に入れるし朝から風呂場ピカピカ。偶に人多くて蒸し風呂になるけど」クスクスと笑い声がするり
「私が言ったのは、皆が優しくて素敵な所なのねって意味よ。」「うん。皆良い人だよ。口悪いし意地悪だけど、寂しくはなかったよ。」「それは、とてもいい事よ」
「ここもいい所?」「そうね。いい所よ。国王様も厳しいけれどお優しいし、・・・・・・皆親切よ。」「・・・・。」
プリンセスを陥れたのに?そう言いそうになったが言えなかった。その顔が辛そうに微笑んでいたから、
「俺、この国を好きになれるかな?」ウィスタリアも嫌いではない。しかし好きではない。シュタインに対してもそうだ。否、嫌いなのかもしれない。閉鎖的で空気が重く息が詰まる様な感覚に陥るのだ。
「ええ、きっと・・・。」「そう言えば、ゼノ様のお部屋にはもう一つ扉がありましたけどあの部屋は何処に繋がっているの?」
「・・・・王妃様のお部屋よ。」
あの扉の向こうには王妃様の為にご用意したお部屋があるの、掃除以外であの部屋に入る事は許されないし、あの扉は開く事が出来ないの。
「陛下!何度も申し上げますようにせめてご側室を・・・!」
「くどい、それより西の領地の・・・・」
その後執務室へ向かった。何をするでも無く立ち尽くし官僚達の声を素通りしながら王を見ていた。