第4章 導きの星は誰を照らす
「ウィスタリアは今はメイドさんが少ないから、掃除とかもやってるけど、基本、執事のお仕事は専属の人の身の回りのお世話が仕事。あと、メイドさんたちの仕事の割り振りや銀器の管理も執事の仕事だね。特に銀器は執事の仕事ぶりを見るうえで重要だから・・・」
城を案内してもらいながら執事の仕事について懇切丁寧に教えてくれる。
塵一つない廊下は日頃から掃除が行き届いているのだなと感心する。
「あっ!俺、訓練場にすこし顔見せに行ってくるね。」
そう言ってユーリは訓練場の方へと駆けていく。
掃除も調度品も綺麗に磨かれ、完璧な道、しかし不自然なほど飾られている絵が少ない。
前からたくさんのシーツを持ったメイドさんが歩いてくる。
「・・・・・・。」
駆けよりヒョイと半分持つ。視界が広がったのか一瞬メイドさんは驚いた顔をして俺を見下ろす。
綺麗な黒髪に白い肌、不自然に前髪が伸び顔半分が仮面で覆われてる。
「どこに運べばいいですか?」「あぁ、これから洗濯しに行くのよ」そう言って道を示す・・。まだ教わってない場所だ。
「あれ?フェート、どうしたの??」「ユーリ様・・・。」「洗濯しに行くんだって、一人じゃ大変そうだから手伝おうと思って、なので案内その後お願いします。」
「そっか、あと案内は執務室位だから、とりあえず終わったらゼノ様の執務室に来て、フェート悪いけど終わったらゼノ様の執務室前に案内してあげて」
「かしこまりました。」そう言ってユーリは回廊を歩いていく。
「ありがとうね。」「いえ、よろしくお願いします。」
微笑を浮かべているのかよくわからなかったが声音はとても優しい・・・。風が吹いてきて髪が揺れる。
綺麗な焦げ茶色の瞳・・・優しく垂れ下がった目じりが母に酷似していた。いや、それ以上に誰かに・・・ウィスタリアで見たプリンセスの顔だ・・・。
「あなた、お名前は」「・・・・ルプス」
喘ぐように声を出す・・・
「私はフェート・・・事情があってゼノ国王陛下付のメイドをしています。よろしくね」
「・・・えぇ。」