第4章 導きの星は誰を照らす
体の芯が重くだるい、疲れているはずなのに瞼を閉じても眠ることが出来なかった。
この国はウィスタリアに比べると肌寒い。
寒いのは苦手ではないが、夜になると上着がないとさすがに堪える。
体を動かせば多少は寒さも凌げるだろうし眠気も来るだろうと、中庭に出たのはどれくらい前だろう。
真夜中だというのに星明りがまぶしい・・・ここは星が近くに感じる。
美しく神秘的な夜なのに静かだ。
「ホー」
静寂な夜に不気味な声が響く。
思わず肩を竦めあたりを見渡すが何もいない。
「そんなところで何をしている?」
上から声がして見上げるとバルコニーに身を乗り出すようにこの城の城主がこちらを覗き込んでいた。
この明るい夜空にも負けない漆黒の髪に部屋の光で照らされ輝く深い紫の瞳。真っ黒な部屋着を纏った肩には見たことのない真っ白な鳥が乗っていて、こちらを大きな目でギョロリと見ている。
こちらを見る片目は何を考えているのか全く読めない。
「星空が明るくてなかなか寝付けなかったのでいっそ体でも動かそうかと、騒がしくしてしまい申し訳ありません。」
「いや、構わない」
・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・
ここで会話は終了したのだが、目線は互いを見たまま、逸らそうとしない。
もう寝るか・・・・。
「ホーホー」
また、あの不気味な声。キョロキョロと周りを見るがやはり何もいない・・・この近くにいる筈なのに
「安心しろ。スピネルの声だ」「すぴ・・・ねる?」
見上げようとしたが、急に頭が重くなった。鉤爪が地味に痛い・・・。
前のめりになり、体が倒れると目の前に真っ白の羽毛が見れば真っ白で綺麗な鳥だ。
「ホー」「!!??」
首を直角に回しだす。人間ならあり得ない真横に顔が・・・
「こ、こわい」
痛みは感じないのか先程からグルグルと首を回している。しかも何故かこちらを見て
正直いって気持ち悪い。首の骨はどうなってるのか・・・。
その後のことは覚えていないが、その日の夜
頭をグルグルと180度回転させるスピネルの夢を見て寝れなかった。