第4章 導きの星は誰を照らす
それからしばらくすると、森を抜けウィスタリア西の辺境に出た。悩んでいた時はあれだけ彷徨っていたのに嘘の様だ。
「お前、僕が迷っていたから遠回りしてくれたの?」
ルプスの問いにそっぽを向いたが、これは彼女の照れた時の仕草だ。白銀の鬣を靡かせた白い馬。どの国でも彼女程賢く優しい馬はいないだろう。
深い感謝を込めて頬擦りする。
「ウィスタリアのお城まであと少しだよ。お願いします。」
ルプスの言葉に応える様に馬は速度を速めた。
西の辺境を抜けて、少し寂れた村を歩いていた。
辺りは暗く、すでに真夜中であるが休む訳にいかない。基、休む事が出来ずにいた。
宿屋に泊まれないのだ。ウィスタリアの王宮お抱え執事の証を提示しても、未成年者の宿泊は原則許可出来ないらしい。
「ごめんね、アウラ。お前だけでも休めたら良かったのに」
そういえばお腹も減ってきた。自分はははさまが作ってくれたお弁当があるがアウラの為の乾草はちゃんと調達しないと
「それにしても、世知辛い。せめて、あの宿屋の人も飯くらい提供してくれたっていいじゃないか。」
野宿事態は別に構わないが飯調達が難航するとは、森の中に入れば何とかなるかとも思ったが舗装されていて獣がいない。
アルス国ならその辺にワンサカいるのに、偶に飼われている獣仕留めてトラブルになるが、それだけウチの国ど田舎という事か?
「よう、坊ちゃん。良い馬連れてんじゃねぇか?どこの貴族様だ?」
しまった。考え事してて、薄暗い路地に入っちゃった。
しかも、面倒臭い人種に絡まれた。
「残念ながら貴族様じゃないですよ。ウチのアウラに目をつけるなんて目利きですね。でも、こんなガキ捕まえて追い剥ぎしようとか相当悪人ですね。」
狭い路地、相手は大人3人。
「やだなぁ、俺達は追い剥ぎじゃないぜ。ちょっとした人材派遣会社の社員さ。」「そうだぜ、お前みたいに綺麗な顔した人間を雇いたいって人間にお前を売り込むのさ。タダ飯、三食昼寝付き、上手くいけばお金持ちのご子息様さ」
「うーん、今、丁度腹が減ってるんでタダ飯にはありつきたいけど」得物を後ろ手に構えゆっくり近づく
「お、行く気になったか、やっぱ餓鬼は素直な方が可愛いな。」
「あはは、そうですね。」
大人達が笑顔で手を伸ばしてきた瞬間、俺は得物を振り上げた。