第4章 導きの星は誰を照らす
絵を描くという事事態、人生初かもしれない・・・。
何を描くのかどう描けばいいのか、わからない・・・。
「そんな身構えなくても・・・」
ロベールさんはそう言って笑うけど、今まで経験したことのない事なのだ身構えてしまう。
「君の好きなものを描けばいいよ。望む夢、叶わぬ夢、美しいと思ったもの、何でもいいんだよ。
口に出せずとも描くことだけは許されるのだから」
「望む夢・・・」決して叶わぬ夢・・・。
「決まった??」「・・・・森を描きに行きます。叶わない夢を描いても仕方ないから」
むなしいだけだと思う・・・。いつもそうだった。
昼なお暗い森は今日は木漏れ日が差しいつもより明るく神秘的に見えた。
ついでに薬草でも摘みに行くか・・・。
この森には効用の高く、手に入りにくい薬草がそこかしことなく群生している。薬師様とははさまがよく摘みに来ている。二人について行っているので薬草にはかなり詳しい・・・。
「こんなもんか・・・うわぁ~手ぇすげ~」
薬草を摘んでいた手は土と薬草の汁で紫色に染まっていた。
上質の染料となるこの薬草、水にさらしてもなかなか色が落ちないのだ。
一度悪戯して目に入れたときは方々に叱られた。曰く貴重な染料を目に入れるなんてとんでもないと言う。
陽光や月光に当てる事で色鮮やかさを増す上、口に含んでも人体に影響を及ぼさない。アルス国でも珍しいものだった。
木漏れ日に翳すと、ライラックの様に綺麗な色になる。
画家ならば絵の具が必要になるだろう・・・少し分けてやるか。そう思いながら絵を描く作業を再開した。
「とっても素敵な絵だね・・・神秘的で優しい色遣いだ」
「絵はあんまり上手じゃないですけどね」
優しく褒めてくれているが絵事態を上手とは言われなかったのが証拠だ。今度練習しよう・・・・。
あ、そういえば
「あっ!ははさま~、塩水ない?染料が手に付いちゃったんだ」「あぁ、今日はお風呂にバスソルトを入れたから入ってきなさい。着替えも用意しておくから」
言われた通り浴槽に入る食事の為手を洗った時もお皿を洗ってた間も落ちる事のなかった染料は見る見るうちに溶けていく。
いつも通り真っ白な自分の手が戻って来た。