第4章 導きの星は誰を照らす
「あかちゃん?」「そう、女の子はその子の為に一生懸命働き、やがてかわいい男の子を生みました。」
生まれたばかりの小さな命は、傷ついた女の子の心を喜びで満たしてくれました。女の子は赤ちゃんにありったけの愛情を注いで育てました。そして男の子が成長すると森へと向かいました。
森の入り口で立ち止まり、男の子に森の奥へ向かうように言いました。『そこにあなたを待っている人がいる。その人をどうか支えてあげて・・・。』
そう言って男の子の額にキスをすると男の子の体はオオカミの姿に変わっていきました。女の子はそれを見届けるとポロポロと涙をこぼしました。
溢した涙は天へと上り、やがて女の子と一緒に一つの星になりました。
夜空で一番輝く白い星に・・・。
オオカミは白い星に導かれるように森の奥に入ると沢山の狼に囲まれる一人の青年に出会いました。青年はオオカミの鬣を優しく撫で抱きしめました。オオカミは青年の頬に母がしてくれてた様に口付を落とすと青年も狼の姿に変わりました。女の子に出会う前の狼の姿に・・・。
森の狼たちは喜び、新しく来たオオカミを祝福し歓迎しました。やがて、オオカミは王子様として森に残りみんなは仲良く暮らしましたとさ、おしまい。
「・・・・・かなしいね」「そうでもないよ。夜空になれば、星を見るでしょ?その時だけ女の子は大好きなオオカミに会うことが出来るの。そして、迷った時には空でどの星よりも瞬いて導くことが出来る。」
「でも、男の子も王様もきっと寂しい・・・女の子だって」
「・・・・もう、寝なさい・・・。」
「ははさま・・・ははさまはもしかして・・・」
言葉は紡がれることなく目を閉じて行った。
寂しくない、そう言ったらうそになる・・・でも、それではどうしろというのだろう・・・。
今の私に・・・どうしろと・・・。先程飲んだ薬の小瓶を見つめる。深いため息と共に眠りにつくのであった。