第4章 導きの星は誰を照らす
「いやぁー、驚いたよ。まさか、旅先で教え子に会うなんて。元気だった。」「それなりに、先生は何を?って、聞くまでもないですね。旅の画家なんて、小説の主人公みたいですね。」
話をすると 幼い頃の面影がまだ残っていた。直接家庭教師をしていたわけではなかったが、僕が来るまで妹の勉強をみていたらしく、嫉妬心を抱かれたらしい。
分からないところは聞かず自分で調べるし、外に遊びに誘っても断る。そのくせ、いざ出発すると付いて来てたり、寂しそうにする。
とても利発で優しく意地っ張りな子だった。そして、とても家族想いの子だった。ステラちゃんの事は話すべきだろうか?
「6年前まではウィスタリアの王宮お抱えだったけど、この方が性に合ってるかも。」「・・・・それじゃあ妹とは?」
どうやら知ってたらしい。
「なんだぁー、薬師様妹いんのかい。」「さぞ美人だろうな」「やめとけやめとけ、あのルナの妹だぞ、男勝りのじゃじゃ馬に違いない。」「嫁の貰い手ないなぁ。俺がいっそ貰ってやろうか?」
「バーカ、お前ら甲斐性無しの上ムサいクソ親父共に大事なうちの妹をやるわけ無いだろ?あたしの評価さえガタ落ちなんだから、その辺の馬か牛と結婚してろ。あ、馬にも嫌われてたな、悪りぃ」
「駄目だわ、こいつの妹とか性格悲惨だわ」「顔が良くてもなー。」「画家さんはこいつの妹に、会った事あるのか?」「ええ、教え子だったんです。王宮でバッタリ再会しまして、とても素直で努力家で、優しい女性でしたよ」ホントかよ!?とか、やっぱ紹介してくれと頼み込む人まで出てきた。
「そもそも、ルナ母様の妹さん、ご成婚されてますよ。」
「あれ?知っているのかい?」意外にも話に加わったのはルプス君だった。
「この子、今休暇中だけどウィスタリアの王宮専属執事なんだよ。だから、」え?!この子が、というかウィスタリアに居たの!?
「半年前から、アルス国王の推薦をいただいて、ウィスタリア国で執事見習いを勤めさせ頂いてます。」半年前から、ならおそらくゼノとも接触している筈、偶然にしては
「そうだったんだ、あの絵は人物画の中では自信作なんだよ。
最も、一番の作品はシュタインにあると思うけど」
確認してみないと・・・・。そんな朧げな考えが浮かんだ。