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[イケメン王宮]グッバイ!racrimosa

第4章 導きの星は誰を照らす


 客人たちの国自慢や身内自慢などを聞いていると時間はあっという間に過ぎていき、ほんの少し仮眠を取った後、外に出た。

 本当はもう少し寝ていたい気もしたが、ハリネズミのアンバーに起こされた。朝焼けが差していた。
 窓の向こう小高い丘に薄霧と共に空が明るくなり始めている・・・蒼とも赤とも違う・・・独特の神秘的な色彩に惹かれるように画材を抱え丘を目指す。

 丘は傾斜こそ緩いが大きな画材を持っているため結構重労働だ。

 ふと、村の方から馨しい草花の香りがする・・・穏やかで春の陽だまりの様な、朝焼けに照らされ軒に飾られた織物が輝いてみえる・・・・振り返って見ても見覚えのない街並みでも、どこかノスタルジックな気分になる。

 これはしばらく題材に困らないだろうな・・・。

 そんなことを考えた。丘に登って朝焼けを描かないといけないはずなのに村の情景から目を離すことが出来ない。

 「お持ちしましょうか?」年若い女の声が聞こえた。
 酷く華奢な手がキャンパスをヒョイと持ち上げる。

 「あぁ、すいません。」

 振り返った先に、星が落ちていた。

 朝焼けに照らされて尚、冴え冴えとした銀色の輝く白い髪、星がちりばめられたように光る白い頬、陽光を受け金色の輝く美しい明星の様な瞳
 華奢でか細くほっそりとした体は繊月の様に儚げながら優美・・・・月さえも霞む瞬く星の様に儚くも美しい女性がいた。 

 特に瞳、朧月の様に繊細でいてとても明るい・・まるで薄暗い森から空を見上げた時の様であり、湖月の様に揺らぎ、深い茶色にも・・・

 「あれ?君は・・・??」

 一度目を瞬く、気のせいか・・・、ふと遠い異国のプリンセスに酷似して見えた。大事な僕の教え子だった。

 「・・・・あの?なにか」戸惑ったように瞳が揺らぐ、今度はやはり金色だった。やはり気のせいか。

 「失礼、知り合いにどこか似ていたので、こんな朝早くから散歩ですか?」

 「あぁ、朝焼けで目が冴えてしまって・・・何となくだ。ここへは風景画を?」
 微笑む顔は儚げな容姿と裏腹に溌剌としている。
 「えぇ、この神秘的な朝焼けを描こうと思って」
 「だったらこの先の泉に行くといいぞ。夜も綺麗だけど、薄霧が出た朝はまた幻想的だ」

 そう言って微笑道案内を買って出てくれた。
 
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