第4章 導きの星は誰を照らす
この国の技術はすごい、自然に満ち溢れた国だが、調和を取りつつ、人々に住みやすい国づくりができている。
『ここだけの話、国王陛下は大の旅好きで、暇さえあればお忍びで国中廻っているんだ』
『この間、西の都市ドミナに居たな。まぁ、途中で王妃様に見つかって首に縄駆けられて王都に帰って行ったが・・・;』
ここに来る前に立ち寄った王都では、馬車以外にも人力の二輪車や電動の4輪車なども多く出ていた。
噂だが、空を滑空する乗り物も開発しているところだと聞く・・・。
この国の技術をもってすれば、他国とも対等いや、それ以上に優位に立てるだろう。
それをしないのも王の仁徳あってこそと言ったところか、
『この国は国王がご即位される前まで領土内の争いがまだ活発でな・・・現国王が調査団として各領土を回ってくれて、和議や調停を取り持ってくれたおかげで、今は穏やかなんだ。皆、争い事はコリゴリなんだよ』
『だから、他国からそう言った面倒事を持ってこられないよう、他国の旅人にはちょいと厳しい。お兄ちゃん王都から来たってことは相当睨まれただろう。』「いえ、特には・・。」
とは言ったものの、画材用の染料買うのに少しだけ揉めた。この国の染料は少しばかり特殊で、お願いした色は中でも扱いが非常に難しいらしく、わざわざ王宮の薬剤師達が来てそれとなく言われた。
『ともかく、王やこの国は豊かな森と自然の恵みにあふれた国だ。温かみのある優しい絵をここの女将さんにプレゼントしてくれないか?』
『女将さんきっと喜ぶぞ~・・。』「ここの女将さん体が弱いみたいなですね。」
『あぁ、でもほぼ毎日朝早くから起きて、宿屋の事もこの村の仕事も手伝ってくれてる。家のカミさんには負けるがそこそこ美人だし。』
この客人の奥方の容姿は知らないが、この宿屋の雰囲気や客人の様子から察するにとても優しい人なのだろう。
「お元気な時にお会いしたいです。」
『やめとけやめとけ。今はこっわい騎士様がいる。』
苦笑いをしだす・・・。
『しかも二人、近づこうものなら、容赦なく噛みつかれるぞ~。アンちゃんなかなかの美丈夫だから・・・。』
どう反応を取っていいかわからず笑うしかない。
しかし、こんなに長閑で穏やかな時間は久しぶりな気がする。
ここは何処か似ている・・・ウィスタリアのとある村に・・・。